歌姫VS大統領のバトルは終わらない。米歌手レディー・ガガ(30)が5日(日本時間6日)、米プロアメリカンフットボールリーグ(NFL)の頂点を争うスーパーボウルのハーフタイムショーに出演。ドナルド・トランプ大統領(70)が発したイスラム圏7か国からの入国禁止の大統領令に対して暗に抗議の意を示したとも受けとれるパフォーマンスを行ったが、トランプ氏は翌日、改めてこの政策の正当性を訴えた。

 昨年のスーパーボウルでは米国歌を歌ったガガは今回、同国アーティストにとって最高級の栄誉であるハーフタイムショー出演を果たした。

 会場のNRGスタジアム(テキサス州ヒューストン)の天井部からダイブすると、ワイヤでつり下げられた状態でステージへ“降臨”。前半終了時は3―21とアトランタ・ファルコンズに大量リードされていたニューイングランド・ペイトリオッツは、このハーフタイム後に3―28まで差を広げられたが、そこから延長戦に持ち込み34―28で大逆転優勝を飾った。

 ニールセン調査によるテレビ視聴者は1億1130万人。過去最高だった一昨年の1億1440万人に届かず、昨年の1億1190万人からも微減となったが、悪くない数字だという。

 そんな晴れの場でガガは、イスラム圏7か国からの入国を禁じたトランプ氏の大統領令に反対するデモ参加者によって歌われている歌の一部を口ずさんだ。その歌は伝説的なフォーク歌手の故ウディ・ガスリー氏の「わが祖国」。歌詞の後半部分で、米国への不満を訴え「この国はあなたや私のためのものなの?」と問い掛けている。空港などで行われている大統領令に反対するデモの参加者によく歌われている。

 ハーフタイムショーをめぐっては、ガガが政治的な発言をするのではないかと事前に注目され、政治的コメントをしない約束が大会側とかわされているとの報道もあり、関心が高まっていた。

 結局、政治的発言はなかったものの、「わが祖国」の一部を歌ったことについて米誌バニティ・フェア(電子版)は「多くの視聴者には気付かれずに鋭い政治的メッセージを発した」と報道。入国規制に暗に異議を唱えた形だ。

 ガガは「みなさん、ハーフタイムショーはどうだった?」とツイッターで問いかけたが、詳細には言及せず。トランプ氏はペイトリオッツのオーナーや主力選手と親交があるといわれ、「驚くべき逆転劇」とツイートした。

「愛国者」を意味する名前のチームの大勝利は、トランプ氏にとってはまさにタイムリーな出来事かもしれない。

 翌6日、トランプ氏は米中央軍が司令部を置くフロリダ州のマクディル空軍基地で演説し、「私たちの国を壊そうとする人たち」の入国を許すべきではないと述べ、裁判所が一時差し止めたイスラム圏からの入国禁止令を正当化した。この発言はガガのショーを踏まえたものではないにせよ、かねて自身に批判的なガガとの“溝”は深まったようだ。