俳優の窪塚洋介(37)、イッセー尾形(64)、塚本晋也(57)が31日、都内でハリウッド映画「沈黙―サイレンス―」の大ヒット御礼舞台あいさつを行った。

 遠藤周作原作の「沈黙――」は江戸時代初期、幕府によるキリスト教弾圧が激化する長崎が舞台。監督はマーティン・スコセッシ氏(74)が務め、主演の宣教師はアンドリュー・ガーフィールド(33)が演じた。

 この日は、21日の公開以降、5度目の観賞という観客も。窪塚は「その人はもう住んでるんじゃないですか? 本当にありがとうございます」とジョークを飛ばしながら深く頭を下げた。

 反響については18歳でデビューした時より大きいといい「『ひと言じゃ言えない』って言った後に延々と感想を言ってきたり、『見た後、ボーッとしていて職質(職務質問)されちゃった』という人がいたり、見る前と違う自分になってくれる人が多い」とうれしそうな表情を見せた。

 迫害を受ける隠れキリシタンを演じた窪塚と塚本はともに「準備が大変だった」とし、窪塚は「衣装の“汚し”に時間がかかった」、塚本は「付け歯が痛かった」としみじみ語った。

 イッセーは頭にまげ用の羽二重を装着するために髪の毛を剃ったが、台湾から来たエキストラは「明日面接がある」と拒否。それでも頼み込んで剃毛してもらったものの「本番では笠をかぶっていた」と笑いながら振り返った。

 今作の意義について窪塚は「米国人の友人に『今、米国のクリスチャンは踏み絵があったら踏む?』と聞いたら『みんな踏むよ』と言う。トランプさんになって世の中いろいろ変わったりする中、これまで(男女が)チューする映画を見ていた人がこれを見てガツンとやられる。今、見るべき作品なのかな」と熱弁した。

 午後8時の上映前に行われた舞台あいさつは予定時間をオーバーするほど白熱。最後に「今だったら踏み絵を踏むか」と問われた窪塚は「心のままに、だと思う。踏んだことによって自分の信じたものが変わるわけではない」と即答した上で「今、遠くから来ている人は終電が気になっていると思う。別に途中で帰っても沈黙がわからなかった、ということにはならないので大丈夫です」と軽妙に締めくくった。