廃虚マニアの間で“日本最狂”の物件とされている寺がある。茨城県北部の山中にあるその寺は、通称「ブラ寺」と呼ばれている。

 本堂のすぐ隣にある建物の中には無数のブラジャーがつるされている。とりわけ、一番奥にある部屋には、100以上のブラジャーがつるされており、その周りには、特定の女性の名前が書かれた小さな紙が貼られていたり、つるされたりしている。さらに部屋の右奥には祭壇のようなものがあり、厨子や写真、名刺などが置かれていた。

 ここには「SEX」や「89jr3fj9う(判読不可能)」と書かれたブラジャーのほか、ベッドのすぐ横には五寸くぎが打たれている人形などもある。すべての部屋を調べると、ブラジャーの数はゆうに500を超えていた。

 一見、アート作品にも見えるが、これらのものから見えてきたのは、怨念そのものだった。茨城の山中で、ここまで大掛かりなものを作れるだけの深い怨恨があるのだろう。

 そもそもこの寺は、真言宗醍醐派に属していた。そこから離脱したのは1988年。独立して以降、一気に方向性が変わった。霊視鑑定を軸として活動するようになると「あなたには水子の霊がついている」などともっともらしい説明をして、100万円単位の供養料を請求するなどして詐欺商法の舞台となった。1990年代のことだった。

 その後、消費者センターに次々と苦情が寄せられ、多額の損害賠償請求が起こり、僧侶たちは寺を捨てた。廃虚となったのはこのころ。場所を移して、関西地区で同様の活動を再開したという話もある。

 廃虚マニアの女性は「今年に入ってから作られたものと考えられます。昨年行ったときはありませんでした。恐ろしいですね」と証言する。“制作者”の意図はなんだろうか。