お笑いコンビ「NON STYLE」の井上裕介(36)が、11日深夜に東京・世田谷区の道路で乗用車を運転中、タクシーと接触する事故を起こしていたことが12日、明らかになった。タクシーの運転手は軽傷。井上の所属事務所である吉本興業は「“当て逃げ”なのは間違いない」。井上の芸能活動に関しては今後、処分が確定し、被害者との示談が成立するまで“無期限の休養”に入るという。

 警視庁世田谷署によると、事故は11日午後11時45分ごろに発生。井上が運転する乗用車が世田谷区内の都道でタクシーと衝突した。井上は通報せずに走り去ったという。タクシーの40代男性運転手は首や腰に全治2週間のケガを負った。

 運転手がナンバーを見ており、井上と特定。仕事帰りだったといい、同署によれば井上は「事故を起こしたことを世間に知られたら、大変なことになると思った」と逃げたことを認めているという。同署は自動車運転処罰法違反(過失傷害)や道交法違反(救護義務違反)の疑いで調べている。

 だが、所属の吉本興業は本紙の取材に対し「怖くなって逃げたという事実はない」と答え、こう続けた。「本人は『ぶつかったかもしれない』と思ったが接触後、信号でタクシーは井上の車の後ろに止まったままで、運転手も出てこなかった。そのため『大丈夫なんだ』と判断してその場を去った」

 そのまま井上は帰宅したが、12日午前2時ごろに出頭を求める連絡が入ったという。「世間に知られたら大変」という同署の説明について、吉本は「もし警察でそう言ったのなら、拘束されるはず」と否定した。

 ただ、「経緯はどうであれ、結果的に“当て逃げ”になったのは間違いない」(同)。記者会見などで本人に説明させる可能性については、「その前にやるべきことがあるので」として当面は行わない方針だという。

 吉本は13日未明、報道各社に本人のコメントも添えた報告書面を送信した。

 会見の前にやるべきこととは、被害者への謝罪と警察の捜査への協力。「刑事手続きが終わって処分が確定するまでは、仕事をやるわけにはいかない」と、今後しばらくは活動を自粛し“無期限の休養”に入ると明かした。

 芸能プロ関係者は「刑事上の処分が確定したうえで、被害者との示談が成立しない限り復帰はできないでしょう。さらに会見を開いて本人が謝罪する必要もあるでしょうね」と話す。

 いまや超売れっ子の井上は多くのレギュラー番組(10月末のツイッターではテレビ5本、ラジオ1本)に加え、この時期は年末年始特番の収録がめじろ押し。今回の事故により、場合によっては「番組差し替え」となることも考えられるが、吉本サイドは「個別の番組についてはそれぞれ、テレビ局と話し合うことになる」。

 また石田明(36)と組む漫才コンビ「NON STYLE」としては、吉本の劇場に定期出演しているが、「それも休まざるを得ないと思う」と話した。

 ネット上などでは「飲酒運転だったことを隠すために逃げた」との書き込みも見られたが、この疑惑については「世田谷区内のスタジオで収録が終わったのが11時過ぎ。11時半ごろにスタジオを出て事故が起きたのが15分後。運転しながら酒を飲んだのなら別だが、飲酒はありえない」と否定した。

「飲酒はしていなかったようで、身柄を拘束しないまま捜査を続ける。逮捕はなく、書類送検で罰金が科されるくらいでは」(捜査関係者)

 お笑い関係者は「事故を起こす直前に収録していたのは、バラエティー番組。ここで井上はガンガン笑いを取っていた。収録直後だけに、かなりのハイテンションで運転していたのかもしれない」と明かす。

 もちろんそんなことが、事故を起こしながらその場を立ち去った理由にはならないのは言うまでもない。自粛期間で大いに反省する必要がありそうだ。