ラオス最北部の中国製“廃墟カジノ”法案可決の日本は大丈夫なのか!?

2016年12月10日 09時00分

一見、立派なビル群だが無人。廃墟マニアも訪れる

【アツいアジアから旬ネタ直送「亜細亜スポーツ」】日本では賛否両論あるカジノ法案が可決されたが、こんな最悪のケースもある。ラオス最北部、中国との国境の街ボーテンは、いくつものホテルやマンション、レストランが廃虚と化し、巨大なゴーストタウンだ。人けはなく静まり返り、不気味な雰囲気が漂う。

 

 ラオスは国内各地や中国・タイ国境に経済特区をつくり、外資の誘致をもくろんだ。タイ国境サワンナケートにはトヨタ紡織やニコン、三菱マテリアルなど日系企業も進出。ボーテンでは、中国企業がカジノを機軸とした観光開発に乗り出した。中国は賭博が違法。そこで国境を越えた先にカジノタウンをつくり、中国人旅行者を呼び込む計画だった。

 

 2003年に開発が始まり、山奥のへき地は激変した。国境へ続く細い未舗装路の両側に商店や民家が少しあるだけだった村に、ホテルやショッピングモール、投資目的のマンションが乱立。当時、ボーテンを訪れた男性によれば「中国人はカジノだけでは飽き足らず、闘鶏場もつくって賭けをし、路上でマージャンを打っていた。完全なギャンブルタウンと化し、売春も横行していた」という。

 

 賭けに勝ち、羽振りのいい男を相手にする女も、中国からの出稼ぎ売春婦。「街で特に大きいロイヤルホテルの前は、立ちんぼのたまり場。歩いてると腕をつかまれ、遊ぼうとせがまれる。KTV(女性がはべるカラオケクラブ)もいくつもあったし、街はずれには置屋も並んでいた」と男性は振り返る。

 

 また、麻薬を売る地元民や少数民族も多かったという。「ラオスは大麻とアヘンの名産地で知られる。特に山岳部の少数民族は昔から換金作物として麻やケシを栽培していた。今でも旅行者にコッソリ売ってるが、当時のボーテンではかなり大っぴらだった」(前同)

 

 さらにカジノはマフィアのマネーロンダリングにも使われるようになり、治安は急速に悪化。犯罪が多発し、殺人事件も起きるようになった。カジノで大負けし、金を払えなくなった客は殺されるという噂まであった。

 

 事態を重くみたラオス政府は11年、カジノ閉鎖を決定。中国人ギャンブラーや売春婦も当然、潮が引くように撤退した。ホテルやレストランなども次々廃業し、ボーテンの栄華はあっという間に終わった。

 

 巨大資本でラオスを荒らし、廃虚を残しただけの中国は、ここへきてまた開発を計画しているという。今度はゴルフ場を中心とした山岳リゾート。閉鎖したホテルや商店の一部は再開しつつあり、地元民は「また治安が悪くなるのでは」と警戒している。

 

 ☆室橋裕和(むろはし・ひろかず)=1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め周辺国も飛び回る。2年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。

関連タグ: