イエティやビッグフットといった毛むくじゃらで大きな獣人タイプのUMAの目撃情報は、海外に限ったことではない。日本でも報告されているのだ。

 中でも一番古い目撃例といえるのが新潟の異獣だろう。天保8年(1837年)に出版され、当時の雪国の生活をつぶさに書き記しベストセラーとなった鈴木牧之の「北越雪譜」で紹介されている妖怪で、「異獣」と記されている。

 サルに似た外見だが異質なところも多く、頭の毛は背中にたれるほど長く、人間よりずっと背丈も高かったという。文献によっては毛むくじゃらでぎょろりとした大きな目玉だけがのぞいている、という恐ろしい外見をしている。

 ある問屋で働いていた男が大量の荷物を背負って山越えをしようとしていたのだが、一休みしようとしたところでこの怪物と出くわしたという。怪物は恐ろしい姿をしていたがおとなしく、彼の食べている弁当を欲しがるようなしぐさを見せたため、分けてやるとうれしそうに食べたという。

 そして、改めて出発しようとすると彼より先に荷物を背負い、山越えを手伝ってくれたという。山を越えると、怪物は荷物を下ろして風のように山の奥へ去っていったそうだ。同様の怪物はこの近辺に住んでいる人々に何度か目撃されており、人に食べ物をねだることもあったという。

 どちらかというと妖怪というよりもヒマラヤ山中の雪男など、世界中で目撃されている獣人型の未確認生物に近い印象を与える妖怪である。危害を加えることなく、ある程度の意思疎通も可能で人間に友好的というあたりは海外のものと比べると非常に親しみやすい。

 この妖怪に似た特性を持つ妖怪として、お酒とひきかえに手伝ってくれる妖怪三吉鬼などがいる。また、1980年代には広島県で毛むくじゃらの大きな猿に似たヒバゴンという未確認生物が目撃されている。また、サルの中には脳下垂体の異常により通常より非常に大きく成長する個体も確認されているため、新潟の異獣に関しても同様に成長異常が起きた個体であるとみることもできる。

 もしかすると、今も日本の山の中には未知の巨大類人猿が生息しているのかもしれない。

(提供=ミステリーニュースステーションATLAS