「パソコン画面から手が出てきた!」。歌手ASKA容疑者(本名・宮崎重明=58)が完全に“壊れてしまった”証言を独占入手――。警視庁組織犯罪対策5課が28日、ASKA容疑者を覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕した。逮捕につながったのはASKA容疑者自ら3日前に行った110番通報で、尿検査の結果、覚醒剤の陽性反応が出たという。ASKA容疑者は「幻覚を見ていた」と捜査関係者。本紙は3年前の匿名スクープで薬物の深刻な影響を報じており、今回は残念ながら「更生は絶対ムリ」との声まで出ている。

 ASKA容疑者は、11月中旬ごろから25日までの間に、東京都内またはその周辺で覚醒剤若干量を何らかの方法で使用した疑いが持たれている。

 逮捕のきっかけは、25日午後7時ごろの「盗撮されているから確認してほしい」とのASKA容疑者自身の110番通報だった。駆け付けた警察官が、意味不明な言動を見せるASKA容疑者に任意の尿検査を要請すると「分かりました」と応じ、その結果、陽性反応が。当時は妻と2人で自宅にいたという。

 捜査関係者は「この時のASKAは、本当に異常だったようだ」と明かす。「とにかく何かに追われていると思い込んでいた。駆けつけた警察官に対して、パソコンを指さして『ほら、画面から手が出てる!』と訴えたりした。警察官はこの状況を見て、尿検査を要請したんです」

 28日の午後、テレビで「逮捕へ」と速報が流れると、ASKA容疑者はブログに「間違いですよ」「何の、問題もありません」と否定する内容を書き込んだが、もはや常識的な判断能力などは持ち合わせていなかったに違いない。

「盗撮されている」と通報し被害届を出そうとしたりパソコンから手が出ているように見えたり、ブログで“盗聴盗撮”被害を訴えたり、ASKA容疑者の行動はまったく理解不能だ。同様の記述は1月から繰り返されてきた。

 本来、警察とはかかわりを持ちたくないはず。まして再犯しているとしたらなおさらだ。もはや異常としか言いようがないが、なぜこのような行動に出たのか?

 覚醒剤に詳しい山口組系組織の元組長で作家の石原伸司氏(78)は「初期のシャブ中は、捕まるって分かるから、110番とか警察に接触するようなバカなことはしないです。でも度合いがひどくなると、脳が壊れて、『殺される』『ヤクザに追われて怖い』『見張られてる』という妄想に支配され、恐怖感しかなくなる。自分がパクられることすら思いつかなくなるほどです。恐怖心に支配され、警察にすがりつくのは、重度のシャブ中です」と話す。

 自らの体験や多くの覚醒剤乱用者を見てきた石原氏にとって、ASKA容疑者の覚醒剤汚染度は「更生の余地はない。残念ながら、絶対ムリと断言せざるを得ない」ほどだという。

「ASKAはただのシャブ中じゃない。それこそ人の10倍とか大量にやって、かなり脳が壊れているみたいですね。盗聴や盗撮されているという被害妄想はかなり重度の中毒で、ほうっておくと人を殺しかねなかった」と指摘する。

 ここまで重度になると人とすれ違うだけで「警察だ」「殺し屋だ」「ヤクザが自分を殺しに来た」などという妄想の恐怖におびえるという。街中で多くの人がいると「みんなが自分のことをシャブ中だと知っててニラんでる」という錯覚にも陥るようだ。

 石原氏は「そんな重度のシャブ中の最悪の行動が過剰な“護身”。『殺される前にこっちから殺してやる』『警察に捕まる前に刺して逃げてやる』という妄想になって、常に刃物とかの武器を持ち歩き、見ず知らずの通行人を殺し屋と錯覚して刺したりするわけです。今回、ASKAが逮捕されずにそのままシャブを続けていたら、錯乱して人を殺していたかもしれない」と語る。

 実際、覚醒剤乱用者の通り魔事件は何度も起こっている。

 もう一つ気になるのは入手方法。逮捕や一連の騒動で当然従来の入手ルートは断っているはず。 いったいどういう手段で手に入れていたのか? 現役の捜査員はこう推測する。

「家族から信頼されるような意外な人物が実は売人になっている可能性はある。あるいは、断っていたルートに家族に内緒で連絡したか、何らかの形で売人がASKAにコンタクトしてきたのでしょう」

 前出の石原氏は「シャブで逮捕された人間はいいダンベ(カネづる)になります。ASKAの場合は顔も家も分かってます。散歩でもしてるASKAに対し、売人は遠くからポケットに入ったパケ(小分けにした覚醒剤を小さなビニール袋に入れたもの)をチラッと見せるだけで、向こうから追ってきて声を掛けてくるでしょうね」と語る。

 周知の通りASKA容疑者は2014年5月に逮捕され、同年9月に懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を受け、現在は執行猶予中だった。もはや実刑は免れないが、塀の中に入っても昔のASKAに戻ることはできないかもしれない。