「サボテン猫」は19世紀ごろの米国で、南西部の砂漠地帯に生息していると噂された生物である。

 体は通常の猫よりも少し大きく、ハリネズミのように全身がとげ状の体毛で覆われている。特に後ろ足と尻尾のとげは鋭く、尻尾はサボテンのように分岐しており、襲われそうになると、この尻尾を振り回して身を守る。

 名前の通りサボテンと猫を融合させたような不思議な姿をしているが、それ以上に奇妙なのが習性である。

 サボテン猫は、前足にある鋭い爪でサボテンの幹を削り、垂れた樹液を飲むことで生きている。

 サボテンに傷をつけるのは夜間だが、サボテン猫はすぐにはその樹液を飲もうとしない。樹液が発酵するのを待つためで、サボテン猫は特にアルコールになるまで発酵した樹液を好む。だが、飲むとすぐに酔っぱらってしまい、サボテン猫はフラフラとさまよいながら、奇声をあげはじめる。

 そのため、砂漠で奇妙な音が聞こえてくると、サボテン猫の鳴き声だと言われた。どこか陽気で楽しい感じのする生物だが、あるメキシコ人がサボテン猫に近寄ったところ、尻尾の一撃を受けて死亡したという話もある。

 1991年には、モハーベ砂漠のキャンプ場でサボテン猫が目撃されている。目撃した男性によると、見たのはまだ子猫だったが、飛びかかって来そうだったので、捕獲したりせずにその場を立ち去ったのだという。見た目はかわいらしいが、どう猛な生物のようである。

(提供=ミステリーニュースステーションATLAS