りりィさん「私の歌について何か言ってほしくない」

2016年11月13日 16時30分

米国から帰国し本紙のインタビューに応じたりりィさん(1978年9月)

【団塊記者の取材回顧録:特別編】「私は泣いています」で知られるシンガー・ソングライターで女優のりりィ(本名・鎌田小恵子=かまた・さえこ)さんが11日朝、死去した。64歳だった。福岡市出身。葬儀は近親者で行う。肺がんで療養中だった。

 1972年に歌手デビューし、74年の「私は泣いています」が大ヒット。ハスキーな声で人気を集めたりりィさん。78年9月14日、本紙のインタビューに大いに語ったことがあった。当時26歳(写真)。

 米国から帰国したばかりだった。「ロサンゼルスで曲を作ろうと思ったんですよ。ところが曲のイメージが湧いてきたときに帰るハメになって」

 帰国したのは当時の新曲「ベッドで煙草を吸わないで」の発売を間近に控えたキャンペーンのためだった。66年、故沢たまきさんが歌ってヒットした同名曲のカバー。「昔の曲だけど今風だし、それにスタンダードナンバーでしょう。私、ベッドボイスとよくいわれるんですけど、曲調もあっているんじゃないかしら」

 父親は米国人で母親は日本人。早くに両親が亡くなり、生活のためにキャバレーなどで歌っていた。酒と恋と放浪の青春時代。「どっちでもいいよ、そんなことは」。苦労しましたという顔をするのは嫌いだという。

 72年にアルバム「たまねぎ」で歌手デビューして、女性シンガー・ソングライターの先駆けとして注目され、「私は泣いています」が100万枚を超す大ヒットとなる。

 私は泣いています ベッドの上で…と独特のハスキーボイスで歌い一世を風靡した。

 自分の体験を歌ったのかとの質問に「私の歌について何か言ってほしくない。ただ黙って聞いててくれればいいと思うよ」。

 歌手活動の一方で72年、大島渚監督の「夏の妹」で女優デビュー。人気ドラマ「寺内貫太郎一家」(74年、TBS系)に出演するなど映画、ドラマ、CMに多数出演して独特の個性で存在感を見せた。

 近年は「GONINサーガ」(15年)、公開中の映画「湯を沸かすほどの熱い愛」などで貴重な脇役として活躍していた。