“トランプショック”で米国セレブが海外大移住か

2016年11月11日 11時00分

勝利にご満悦のトランプ氏(ロイター)

 大勢が判明した米大統領選は、当初の下馬評を覆し実業家で「暴言王」といわれた共和党のドナルド・トランプ氏(70)が第45代米国大統領に決まった。“トランプショック”で市場は大混乱に陥り、本命視されたヒラリー・クリントン前国務長官(69)支持者の著名人は米国からカナダなどへの移住を明言するなど様々な余波が広がった。政策面でもトランプ氏は北朝鮮問題では強硬路線にシフト。専門家は最悪の場合、東京に北朝鮮のミサイルが降って来る可能性も懸念している。

 

 米メディアも「世紀の番狂わせ」と報じた大統領選。フタを開けてみれば事前の世論調査と裏腹に、獲得した選挙人の数はトランプ氏が過半数を上回る279人、クリントン氏が228人と差がついた(米NBC放送調べ、日本時間10日朝)。

 

 厳格な移民対策を打ち出しているトランプ氏の優勢が伝えられると、隣国カナダの移民局が提供する情報サイトが何度もサーバーダウンし、閲覧困難な状態が一日中続いた。想定外の多くの利用者が一度にアクセスしたためとみられる。

 

 米国内では開票が進むにつれて「移民」という検索ワードが急上昇。ツイッターなどでは「女性差別や人種差別など暴言を繰り返してきたトランプ氏の当確で、米国の将来を悲観する国民が本気でカナダ移住を考え始めたのでは」と話題に。米ネット掲示板「Reddit」では、カナダの国籍取得方法や長期滞在するための情報を交換するスレッドが乱立した。

 

 ハリウッドでは歌手バーブラ・ストライサンド(74)、コメディー女優エイミー・シューマー(35)、歌手兼女優シェール(70)ら、米国籍のスターが「トランプ大統領ならカナダへ移住する」と公言している。

 

 ブライアン・クランストン(60)もその一人。昨年話題になった「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」で、今年のアカデミー賞で初めて主演男優賞にノミネートされた遅咲き俳優だ。ネットメディアで「もしトランプ氏が当選したら(カナダの)在外居住者になるよ。マジだよ。必ず引っ越すから。でも、まだ現実味はないけど。本当にならないように祈る」と真顔で語った。

 

 ヒラリー氏を支援した米人気歌手レディー・ガガ(30)はツイッターに怒りの画像を掲載。写真に写ったガガは「ラブ・トランプス・ヘイト」と書かれたプラカードを手にしている。「勝つ」を意味する「トランプ」の言葉を使って「愛は憎しみに勝つ」と訴え、人種や宗教間の憎悪をあおるトランプ氏を批判した。

 

 米国でカナダ移住の動きが始まったのは、各党候補指名争いの山場だった3月1日の“スーパーチューズデー”でトランプ氏が大勝し、候補者指名獲得に大きくリードした直後だったという。トランプ氏勝利でハリウッドセレブら米国民が大挙して国を去るという事態が現実になりかねない。

 

 不穏なのは国際情勢も同じだ。米国本土まで届く核弾頭ミサイルの開発を続ける北朝鮮の金正恩政権に対し、オバマ政権は外交と経済制裁でじわじわと圧力をかけてきたが、トランプ氏は戦争もいとわない強硬派。

 

 ただ、いきなり“仕掛ける”わけではなく、トランプ氏は過去の発言で「北朝鮮を説得する。金正恩がワシントンに来れば会う。ハンバーガーでも食べながら話そうじゃないか」と述べている。

 

 意外にも北朝鮮はこの発言に好意的で、対外宣伝サイトでは「トランプ氏は長期的な視野を持っている」と評価。対して、圧力路線を踏襲するヒラリー氏を「退屈な女」と断じていた。

 

「コリア・レポート」の辺真一氏によれば「金正恩政権も八方ふさがりということ。正恩氏がトランプ氏の誘いに乗れば、来年にも初の米朝首脳会談が行われ、北朝鮮問題が電撃解決するかもしれない」という。

 

 ただし、物別れに終われば最悪の結末が待っているとも。

 

「米国第一主義のトランプ氏にとって、北の核ミサイルは脅威でしかない。説得に応じない場合は先取先制で平壌を空爆するだろう。そうなれば、応戦されるのは米軍基地のある日本と韓国。東京に原爆が飛んでくる可能性も十分にある」(同)

 

 事態を複雑化させるのは、トランプ氏の実像が見えない点だ。政治家経験のない一介の実業家。選挙期間中は過激発言が話題となったが、就任した途端“別人”になることも考えられる。

 

「あの手のタイプは前言を平気で翻す。ロシアに対しても最初は友好的に振る舞うかもしれませんが、ナメた態度を取られたら、豹変して再び緊迫関係に戻る可能性はある。そうなったらメチャクチャ。外交ジャーナリストと話していてもトランプ氏は『えたいが知れない』という。わかっているのは米国第一主義者ということだけです」

 

 まさかのトランプ大統領の誕生で、これまでの常識が通用しなくなることは確かだ。