仮装した若者らで東京・渋谷のセンター街がすし詰めになる光景が象徴するように、秋の風物詩になりつつあるハロウィーン。ここ数年ですっかり日本でも市民権を得たように思われたが、先週末は昨年の盛り上がりに比べるとトーンダウンした感は否めない。どうしてなのか――。

 ハロウィーン当日の31日、民放の早朝ニュース番組では出演者が“プチ仮装”で登場。ネット上も先週末に引き続きこの話題でにぎわった。

 今年は当日が月曜日のため、28~30日にお祭り騒ぎが予想されていた。ただ、28日はあいにくの雨で人出は少なく、渋谷の混雑ぶりを報じようとしたマスコミ各社は肩透かしを食らった。29日は天候が持ち直したものの、プロ野球日本シリーズ(広島―日本ハム)と重なったこともあってか昨年ほどのフィーバーには至らなかった。

 30日は昼過ぎから警察が警戒態勢を敷いたが、夕方になっても仮装姿はほとんど見られない。ようやくコスプレ姿の若者らで活気づいてきたのは夜9時を回ってからだ。

 とはいえ既に気温は10度を下回り、10代男性が「女の子がバニーガールとかの衣装の上からコートを着込んじゃってて、いまいちエロが足りないッス」とうなだれたように男性は着ぐるみ、女性はコスプレの上からカーディガンやコートを羽織る姿が目立った。

 急速に定着したハロウィーンはいまや2月14日のバレンタインデーの市場規模を超えたといわれるが、昨年は痴漢や公務執行妨害容疑で逮捕者が出れば、朝方には町中にゴミが散乱するなどの問題も表面化した。

 今年は渋谷駅前のスクランブル交差点周辺が歩行者天国になったほか、行政主導で更衣室やゴミ捨て場が用意された。地元の関係団体などがゴミ集めを積極的に行い“無法地帯”と化すことはなかった。

 もっとも、コスプレやマスクをかぶることで非日常を味わいたい人たちにとっては、厳重な統制下に置かれた渋谷の街でのハロウィーンは“官製イベント”に映っていたとも。いまひとつ盛り上がりに欠けたのは、カレンダーや天候のせいだけではないようだ。