宮城県の“廃虚遊園地”売り出し中!

2016年10月30日 10時00分

マニアの人気が高い化女沼レジャーランド

 宮城県大崎市にある「化女沼(けじょぬま)レジャーランド」という“廃虚遊園地”は見学ツアーが設けられるなど、年に何度か合法的に廃虚に入園できることで注目を呼んでいる。そのランドが現在、売却先を探している。サポートするのは会社員で廃虚マニアのフリーライター、鹿取茂雄氏(38)。廃虚マニアといえば、廃虚に無断侵入して写真を撮るのが定番、いわば所有者の“敵”のはずだが…。

 鹿取氏の廃虚歴は15年。全国の廃虚300軒ほどを回ってきた。廃虚界では知られた存在で「最大廃墟神岡鉱山」などの著書もある。鹿取氏が同ランドを初めて訪れたのは2010年だった。

「一般的に廃虚に行くときは、所有者に断ることもなく勝手に入りますが、自分の場合、行く前に連絡を取りました。そして、所有者の後藤孝幸さん(古川商会社長=85)に一緒に行ってもらうことができました。何度か通い、去年春に売却を頼まれ、売却をサポートすることになりました。売却先を探していることをホームページに書いたり、ツイートしたりして呼び掛けを行ってきました」と鹿取氏。

 同ランドは1979年に「化女沼保養ランド」として開園。その後、化女沼レジャーランドに改称された。約4万5000坪の敷地内にはホテルやゴルフ場、ゲートボール場などがあり、最盛期には年間30万人の来園者でにぎわったが、2000年に閉園。廃虚となった今も観覧車やメリーゴーラウンドは残っている。

 後藤氏は「バブル崩壊でやられてしまいましたね。いろいろな思い入れがあります。閉園後には付加価値をつけるため、温泉も掘り、1億円かかりました。アルカリ性の泉質でいい温泉です」と語る。温泉を掘った資金は後藤氏がガソリンスタンドや老人ホームなどの事業を営んでいた時代の蓄えを充てたという。

「一日も早く誰かが一括で買ってくれれば。約10億円の価値がありますが、5億円でいいと思っています。怖いのは火事ですね。宿泊施設などは機械警備などで管理しています」(後藤氏)

 場所は自然公園に囲まれているばかりでなく、東北自動車道・長者原スマートインターから3分といった好立地。建築制限もない。温泉のほか、テレビ・映画の撮影地やコスプレ撮影イベント、サバイバルゲームフィールドなどといった用途なども考えられる。

 鹿取氏は「去年3月には見学会も行いました。全国から廃虚マニアが50人くらい集まりました。昨年『奈良ドリームランド』が売却されましたので、遊園地としての廃虚は日本でここだけ。本当に貴重なものなんですよ」と言う。61年に開業した奈良ドリームランドは06年8月に閉園し、長い間廃虚となっていたが、公売の結果、15年11月に大阪市の不動産会社が落札した。

 昨年7月に「軍艦島」(長崎県長崎市)がユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録され、廃虚やその役目を終えた産業遺産の有効活用が各地で検討されている。実はこうした活動には廃虚マニアが一役買っている。

 保存が決まった「奈良少年刑務所」や「摩耶観光ホテル(通称マヤカン)」は、日本を代表する産業遺産として知られるが、保存が決まったのは、こうした陰の力があったから。時代の流れとともに廃虚マニアの姿勢も変わってきた。