現在開催中の東京国際映画祭「アジア三面鏡2016:リフレクションズ」の記者会見が26日、都内で行われ、俳優の津川雅彦(76)ら各国の出演者と監督が出席した。

「アジア三面鏡」とは、世界的に活躍しているアジアの気鋭監督3人が、「アジアで共に生きる」をテーマに、それぞれがオムニバス映画を製作するというプロジェクト。アジア出身の、ブリランテ・メンドーサ監督(フィリピン)、ソト・クォーリーカー監督(カンボジア)、行定勲監督(日本)が、他国で撮影することでアジア人同士の相互理解を図ろうというのが目的だ。

 行定監督の映画「鳩 Pigeon」では、マレーシアで鳩を飼う孤独な老人(津川)と、現地の女性介護ヘルパー(シャリファ・アマニ)とのふれあいを描く。すると撮影現場では、このプロジェクトらしいハプニングが起こった。

 津川が「僕は根が明るいし、アジアが大好き。新婚旅行で行ったほどです。でも、役どころは寂しさを出さなきゃいけないでしょ? そんなの苦手だから、カメラが回ってなくても、ずっと愛想悪くして、とんがった感じを出してたの。そしたら、アマニが『マレーシアでは出演者はみんな仲良くするのに、津川さんは見向きもしない』と泣きだしちゃってさ(笑い)。ただ役に入っていただけなんだけど、撮影後に謝りましたよ」と振り返った。

 日本の撮影現場では、緊張が張り詰めることも珍しくはない。ところがマレーシアでは、もっと和気あいあいと撮影するという。「撮影前にみんなで記念写真を撮るんです」(行定監督)。そのため、アマニの誤解を生んだようだ。

 同監督は「各国それぞれのスタイルがありますからね。でも、思い通りにならないからこそ切り開いていけることもある。これからもどんどん越境すべきでしょう」と語った。