平幹二朗さん「うまい役者になろうとは思っていません。魅力のある俳優になりたい」

2016年10月25日 06時30分

時代劇出演も多かった平幹二朗さん(1974年7月)

【団塊記者の取材回顧録:特別編】23日に亡くなった平幹二朗(ひら・みきじろう)が74年7月、本紙のインタビューに大いに語ったことがあった。当時40歳。幕末の大老・彦根藩主井伊直弼の生涯を描く「花の生涯」(日本テレビ系)に井伊役で主演していた。

 神奈川・生田スタジオの楽屋で本番前の取材だったが、かつらをかぶりメークは済ませたが衣装は浴衣のままだった。

「平でございます」と深々と頭を下げた。「こんな格好でよろしいですか」とカメラマンを気遣った。優等生、スキがないなどといわれたが「いやあ、優等生と言われるのは一番嫌なんですが」と照れた。

「時代劇には殺陣の美がある」と言い「年齢的にも肉体的にも、需要度は時代劇の方が多いですね。みんなでご飯を食べたり、座布団をひっくり返したりのホームドラマはあまり出たいとは思いません。もちろんいいものがあれば出たいですが…」と話していた。

 時代劇の役柄では「『三匹の侍』の桔梗よりも『樅の木は残った』の原田甲斐の方がやりやすかった」と言う。

 70年に結婚した女優の佐久間との間の双子誕生を間近に控えていた。「一度に2人も授かるなんて、ラッキーですよ」と笑顔になった。1男1女が生まれ、長男はいまや人気俳優となった平岳大だ。

「花の生涯」と並行して「幡随院長兵衛お待ちなせえ」(現・テレビ朝日系)に幡随院長兵衛役で主演するなど引っ張りだこだった。

「うまい役者になろうとは思っていません。魅力のある俳優になりたいと常々思っています」という言葉に俳優としてのこだわりをのぞかせた。その言葉通り品格や色気を感じさせる名優だった。