世の東西を問わず、変わった職業という物は存在する。

 ルーマニアでは、世界で唯一魔女が“まっとうな職業”として認められている国だ。

 日本人の感覚では理解できないのが、ルーマニアの占い師・魔女の認可制度である。魔女(占い師も含む)になる場合は、役所に営業許可申請、所得額に対して16%の所得税を納め、依頼者に領収書の発行が義務づけられた。また、個人事業主として健康保険への加入や年金制度への加入も義務づけられている。案外しっかりとした登録制度があるのだ。

 そんな中、2013年にメリッサとバネッサという2人のプロの魔女が脅迫容疑で逮捕される事件が起きている。逮捕容疑は、魔法に関連した脅迫である。

 ルーマニアで国民的な知名度を誇る某人気女優から、恨みを持っている肉親からかけられた「呪い」を、はらうように依頼を受けたのだが、その後がいけなかった。仕事の報酬として、現金・ポルシェ・ブカレスト市内のマンションなど総額45万ユーロ(約4700万円)もの大金を受け取った。これで終われば問題なかったのだが、人間の欲には際限がない。次第に女優への要求がエスカレート、ついには逃げようとしたその女優に「おまえを、呪いで自殺させてやる!!」と脅迫したというのだ。

 日本でも一般人はもちろん、タレントらも高名な霊能者(?)の皮をかぶった詐欺師にだまされ被害に遭うというケースがあるが、ルーマニアの場合はなまじっか職業として認可されてしまっていたがために、いつまでも信用して要求をのみつづけ、被害が大きくなってしまったのだろうか。

 しかしこの魔女たちの行動は、魔法以前に人間としていかがなものかと思う。

(提供=ミステリーニュースステーションATLAS