お笑いコンビ「ピース」の綾部祐二(38)が8日、都内で緊急会見を開き、来年4月から米国ニューヨークを拠点に活動することを発表した。ピースは解散しないが、事実上の活動休止になる。なぜ、この時期に綾部は渡米を決断したのか? 様々な思案が入り交じった舞台裏に迫った――。

 かねて「ハリウッド進出」を夢に掲げていた綾部は「来年40歳になるということで、ニューヨークで活動をしていきたい。まずはコメディアンとして活動して、最終的には一回でいいから俳優としてハリウッドのレッドカーペットを歩くこと。ビッグになって帰ってくるのが夢」と説明した。

 ただ現時点で英語はまったく話せない。「まずはニューヨークで英語の勉強。2~3年は下積みで3年後くらいからスタートするつもりで。(いつ帰ってくるとか)考えてない。期間は設けてない」と覚悟を示した。

 コンビ活動については「解散はしませんが、来年3月いっぱいでいったんお休みということです」。相方の又吉直樹(36)は6月に綾部から正式に伝えられると、「ええんちゃう? 勝負してきてください」と快く背中を押したという。

 米国行きを決断したのは、又吉が小説「火花」で芥川賞を受賞したことが大きい。「先生(又吉)が芥川賞を受賞した昨年7月16日、コンビも大きく変わった。先生が偉業を成し遂げて自分もこのままでいいのか…。自分も一度やってやろうと、夢を追ってみようかなと。まさか相方を『先生』と呼ぶ日が来るとは思わなかったので、刺激にはなった」

 綾部も言うように、又吉との格差は広がる一方だった。

「芥川賞受賞で又吉には執筆のオファーが殺到。タレント活動も、芸人より作家としてのオファーが増えた。コンビで出演しても又吉の話ばかり。“コンビ格差”を気にした綾部は周囲に『仕事がどんどん少なくなってる』『又吉が小説家一本になったら、俺はどうしよう』と相談していた」(お笑い関係者)

 ピースは当初、綾部の方が人気が上だったため、立場が逆転してしまったことも大きいようだ。

「実は綾部は、又吉より神経質で繊細。一時期、イベントなどで必ずコンビ格差の話題を振られ、ストレスを感じて体調も崩したこともあった」(同)

 昨年、初めてニューヨークを訪れた際、英語力のなさを痛感。英会話学校に通った時期もあったが、「芸能活動との両立が厳しく、上達しなかった。海外経験のある芸人仲間にも相談した結果、“とにかく行って、しゃべらざるを得ない状況にした方が早い”というアドバイスをもらったみたいです」(同)。

 さらに所属する吉本興業が展開する“世界戦略”も渡米を後押ししたという。「吉本はお笑いの世界進出を掲げている。もし綾部が米国で成功すれば、“世界戦略”の大きな足がかりになる」(芸能プロ関係者)

 とはいえ、もしピースとしての仕事が多ければ、吉本としても綾部の米国行きを許すわけにはいかない。「でも又吉には、芸人としてより作家としてのオファーが多いからね。むしろ綾部が米国に行ってひと回り大きくなった方が、コンビとしてももう一段上に行けるという計算もあるのでは」(同)

 綾部には現在、「王様のブランチ」(TBS系)など9つのレギュラー番組があるが、すでに今夏に米国行きの希望を明かし、制作側も快諾。「まだ半年あるので、お話ししたことで表向きに動くことができる。この半年の間にいろいろ決めて、準備とか、そういうことはやろうかなと思う」と、今後は渡米に向けた準備を進めていくという。