上方落語協会会長の桂文枝(73)が15日、大阪市の天神橋筋商店街で、上方落語唯一の定席寄席「天満天神繁昌亭」の開場10周年記念お練りを行った。

 2006年の繁昌亭開設時以来となったお練り。スタート時には吉村洋文大阪市長(41)もお祝いに駆けつけた。

 文枝は「繁昌亭を応援していただく中で、減税措置をやっていただいたんですが、これがいつの間にかなくなっていた。この場を借りてお願いしたい」と先制パンチ。吉村市長は「10周年となり、大阪が誇るものになっている。これから10年、ますます発展していただけるように、大阪市もできるだけ頑張っていきたい」と協力を約束した。

 だが、吉村市長も負けてはいない。お返しとばかりに「師匠は今年1年振り返られていかがですか?」と振ると、文枝は2月の不倫騒動を思い出してか「今年はあまり振り返りたくないな」と話し、観衆の笑いを誘った。

 お練りでは、文枝を乗せた人力車を中心に、日本一長い商店街として有名な天神橋筋商店街を1時間半近くかけて練り歩く予定だった。だが、商店に荷物を搬入する車にさえぎられ、立ち往生するなど20分近く遅延。お練りに参加した上方落語協会副会長の桂きん枝(65)は「これじゃ、お走りや」とぼやいた。

 10年前のお練りで、3代目桂春団治が乗る人力車を引いた文枝は「昨日のことのよう。順風満帆で、あっという間の10年間でした」と振り返った。今後については「伝承芸能なので、若い人を育てていかないといけない。米朝師匠ら四天王、そして、先輩師匠方がされてきたように、次につなげるという役目を果たしたい」と決意を語った。