名優・仲代達矢(83)が13日、都内で開かれた名作「七人の侍」の4Kデジタル・リマスター版マスコミ試写会で、トークショーを行った。

 いわずとしれた黒澤明監督の最高傑作で、1954年にベネチア国際映画祭に出品され、銀獅子賞を受賞した。そして今年、映像、音声を修復したリマスター版が62年ぶりに、ベネチア映画祭「Venice Classics部門」で上映された。

「影武者」のTシャツを着て登場した仲代は、俳優座で学んでいた19歳の時に、「七人の侍」で映画初出演を果たした。「久々に大スクリーンで見たが、すさまじい映画。名作は時空を超える。涙を流して拝見した」と感想を述べた。

 生まれて初めてちょんまげを付けて歩くシーンで、6時間もOKが出なかった。「エキストラみたいなもの。半日も演技指導を受けたので、封切りの時、タイトルに名前が出ているかなと見に行った。今考えりゃ、あんなので出るわけない」と苦笑い。

 また、黒澤組のスクリプターだった野上照代氏(89)は「さっき見て泣いちゃった。黒澤さんが見たら泣いちゃうよ」と感激しきり。続けて、当時の裏話を披露した。

「黒澤さんは44歳でエネルギーがすごかった。撮影期間は1年ちょっと。普通は2000万円くらいの製作費のところを、あの当時のお金で2億円以上かかった。『二度とあんなの撮れない』と言っていた。途中で予算を使い切って、会社が『製作をやめるか』と言ってきたが、やってよかった」

 リマスター版では、主演の三船敏郎のセリフがクリアに聞こえる。野上氏は「三船ちゃんの発音が悪くて、分からないと評判が悪かった。でも、これなら分かるでしょ。見せてやりたいよ」と満足そうだった。