落語家・橘家文左衛門(54)の「三代目橘家文蔵」襲名披露会見が6日、東京・港区の帝国ホテルで行われた。

 文左衛門は1986年10月に二代目橘家文蔵に入門。88年3月に前座「かな文」、90年9月に二ツ目「文吾」、2001年9月に真打ち「文左衛門」、今年9月21日に「三代目橘家文蔵」を襲名する。

 会見には文左衛門のほか落語協会会長の柳亭市馬(54)、後見人として林家木久扇(78)、春風亭一朝(65)が出席。司会は柳家小さん(69)が務めた。

 市馬会長は「このたび、文蔵を襲名することになりました。今後もお引き立てください。はなし家としては、脂の乗り切ったところ。師匠(二代目)に世話になっていない人間はいない。弟子が気持ちも芸も一つにまとまったところでの襲名となりました。我々も後ろから支えるのが仕事」とあいさつした。

 文左衛門は「このたび、弟子として幸せ、妙な責任感、重圧に耐えなきゃいけないなと。まだまだ勉強して、活躍したい。文蔵という名前は、香盤になければいけない名前だと思う。世間に『文蔵』という名前を広めたい」と意気込んだ。

 先代との思い出を聞かれると「頭ごなしに怒鳴る師匠でなく、毎日あきれていたと思う。前座から二ツ目、二ツ目から真打ちに上がった時に言われた言葉があります。『位が上がったからといって勘違いするなよ』。その時は分からずに『はあい』なんて軽返事していたが、今になって分かります」と振り返る。

 襲名にまつわるエピソードを聞かれると「この前、サインを求められて、もう、文蔵と書いてもいいかなと思い『三代目文蔵』と書いたら『まだ文蔵じゃない。私は文左衛門のサインが欲しいんだ』と言われまして。『一行抹消』と書いて、文左衛門と書き直しました」と笑わせた。