NHKが18日に放送した報道番組「ニュース7」で取り上げた日本の子供の貧困を特集した内容に、ネット上でヤラセ疑惑が持ち上がっている。貧困者として紹介された女子高生のものとされるツイッターアカウントがさらされて、貧困どころかその“豪遊”っぷりが暴露されてしまったからだ。自民党の片山さつき参院議員(57)も報道内容を疑問視。今週にもNHKに「説明を求める」とツイートし、追及する姿勢を見せている。

 ネット上でNHKのヤラセ疑惑が浮上し、大炎上する事態となっているのは18日放送の「ニュース7」で取り上げられた子供の貧困特集だった。

 特集では、とある母子家庭で育つ高校3年の女子生徒を紹介。貧困で経済的に厳しいため、家には冷房がなく、進学もあきらめざるを得ないという。中学時代にパソコンの授業についていけなくなったときに、パソコンの代わりにとキーボードだけを買ってもらって練習したエピソードなどを明かし、これをきっかけに自らの貧困を意識するようになったという。

 しかし、この特集が放送された翌日以降、ネット上ではヤラセを疑う声が噴出した。きっかけは、女性の部屋の映像に、定価で2万円はするという高級画材や、人気アニメなどのキャラクターグッズが数多く映し出されていたことだった。

 これに違和感を持ったネット上の住民が女性の素性を調べ始めたところ、本名や住所、さらには本人のものとされるツイッターアカウントが判明。放送以前のツイートには、現在公開中の人気アニメ映画「ONE PIECE FILM GOLD」を5回観賞したり、グッズを買いあさって「イエス!!!散財!!!!!」とツイートし、さらには1食1000円以上のランチの常連であることなどが明かされていた。

 現在はアカウントが見られなくなっているが、貧困とは程遠い女子生徒の“豪遊”っぷりにNHKのヤラセを疑う声が相次いだ。

 これに反応したのが、片山さつき参院議員だ。放送を生で見ていた片山氏は女性を助けたいと思ったというが、のちにヤラセ疑惑を知り「チケットやグッズ、ランチ節約すれば中古のパソコンは十分買えるでしょうからあれっと思い(原文ママ)方も当然いらっしゃるでしょう」とツイート。22日にもNHKに説明を求めると明言し、問題は政界で取り上げられようとしている。

 NHKのヤラセといえば、2014年に報道番組「クローズアップ現代」で放送した「出家詐欺」の特集で、50代の男性に出家詐欺のブローカーを演じさせ、NHK調査委員会、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会がともに「過剰な演出があった」と判断し、番組で当時の国谷裕子キャスター(59)が「視聴者の信頼に反する内容と指摘されました。私としても残念でおわび申し上げます」と涙ながらに謝罪した過去がある。こうした背景もあって、今回もネット上ではNHKのヤラセ疑惑に敏感な反応をしているようだ。

 民放テレビ局の報道関係者は「NHKは公式な発表はしていないが、問題の女子生徒の生活実態を把握したうえで、放送のように貧困女子高生として出演させていたとしたら、ヤラセに当たる。取材で対象者に普段の生活とは違うウソをつかれた可能性もあるが、部屋の中を見たり、話を聞けば、どんなお金の使い方をしているかはある程度はわかるはず。SNSなどで最低限のチェックをするのは基本でしょう」と話している。

 「ニュース7」はNHKの看板報道番組だけに、片山氏らだけでなく、事実関係の公表が求められそうだ。