デビュー曲「あいたい」がロングヒットしている新人歌手・林部智史(28)が10日、“第2の故郷”北海道・礼文島の夏祭り「海峡祭」で凱旋ライブを行った。

 林部は昨年、テレビ東京系「THEカラオケ★バトル」で年間王者に輝き、今年2月に「あいたい」でデビュー。透き通ったクリスタルボイスで一躍人気となり、“泣き歌の貴公子”と呼ばれている。山形県出身の林部だが、歌手・林部智史が誕生するキッカケとなったのは、礼文島だ。

 今から6年前の2010年。19歳でうつ病になった林部は引きこもり生活をした後、自分探しの旅に出て、礼文島にたどり着いた。同年4月からホテルに住み込みで働き、仕事がない時はよくカラオケなどで歌っていた。当時から抜群の歌唱力を誇っており、職場の先輩同僚の糸井宏徳さん(32)から「歌手になった方がいいよ」と強く勧められ、本格的に歌手の道を進むことに決めたのだ。それから音楽専門学校に新聞奨学生制度を利用して通い、首席で卒業。メジャーデビューをつかみ取った。

 礼文島での出会いがあったからこそ、歌という道を見つけることができた――林部は感謝の気持ちを胸に、礼文島の夏祭りで、現時点で有線放送全国ランキングに9週連続でトップ10入りしている「あいたい」など7曲を歌った。

 林部は「もっと有名になって、また帰って来たいなと思います。今後も礼文を背負って、歌っていければなと思います」と誓った。

 夏祭りの前には、思い出の地でもある礼文島のスコトン岬などを巡り、小野徹礼文町町長(66)を表敬訪問し、「あいたい」のCDなどを手渡した。

 小野町長からは「ぜひともそういう(観光)大使をやっていただければと思います。(林部には)大きな期待があります」と激励された。