俳優・藤竜也(74)と映画監督・河瀬直美氏(47)が2日、都内で行われた「第4回 なら国際映画祭2016」(9月17~22日)のラインアップ発表会に出席した。

 奈良県内で行われる同映画祭のエグゼクティブディレクターを務める河瀬監督は同県出身で、現在も在住している。「奈良が面白いのは、神の領域と私たち人間の領域が交じり合っているところ」と説明した。

 2007年に「殯の森」でグランプリを獲得し、13年以降は審査員を務めるなど、カンヌ国際映画祭との距離が近い河瀬監督だけに「映画祭のテーマの一つは若手の育成。世界に羽ばたけるクオリティーを持つ監督を輩出することを目玉にしたい」と意気込んだ。実際、優秀な作品は、カンヌにも積極的に紹介していくという。

 また、なら国際映画祭でワールドプレミアが行われる映画「東の狼」に主演する藤は「『東の狼』シンドロームというか、トラウマではないけど大変だった」と撮影を振り返った。

 奈良県東吉野村で撮影された作品は、藤演じる猟師が100年前に絶滅したとされるニホンオオカミを追い求めるというストーリー。キューバの新鋭カルロス・M・キンテラ監督(32)は事前にあらすじを作り込まず、その場その場で話を展開させていくスタイルだったため、藤は「見かけはやさ男なのに、グイグイ撮影する。風貌と撮影のギャップが、笑いながら人を殺す感じだった」とジョーク交じりに評した。

 作品内では、鹿の解体に立ち会うシーンも。「皮をはいで、四肢を取ってと凄惨な場面なんだけど、食べられる状態になるまで全くカメラを止めてくれない」と苦笑しながら、精神的にもハードな撮影を強いられたことを明かした。