“予約の取れないハーモニカ奏者”と呼ばれるのが先月、アルバム「Beautiful Breath」でメジャーデビューを果たしたクロマチックハーモニカプレーヤーの山下伶(29)だ。

 桐朋学園芸術短大ではフルートを専攻していたが、5年前の2011年にクロマチックハーモニカに出会った。「ユーチューブで映画音楽を探していたら、このハーモニカの音色に魅了された」。そのときからハーモニカを習い始め、14年「第34回FIHジャパンコンテスト」で総合グランプリに輝いた。

 スティービー・ワンダー(66)も愛用し独特の音色を響かせるクロマチックハーモニカだが「日本でもプロの奏者が10人いるかいないか」(山下)。そのため制作を担当するビクターエンタテインメントの河上敬プロデューサーは「会社でアルバムを作りたいと話した時、上層部の頭の上にはクエスチョンマークが付いていた」と振り返る。

 説得は困難を極めたが、「音色とテクニック。それとこの美貌は間違いなくヒットする」と上層部に認めさせた。すでに山下のクロマチックハーモニカは人々を魅了し始めている。数年前からハーモニカの教室を開いているが、「当初、2人しかいなかったけど、ライブを見て自分でもやってみたいという人が増えて、いまでは120人になった。退職してハーモニカを趣味にという人や学生の方もいる」。

 この教室は1対1の個人レッスンの形式を取っているため、人数が増えすぎ予約が取れず、半年、1年待ちの生徒もざらだとか。「7対3ぐらいで男性の方が多いでしょうか。付き合ってほしいとか言いだす人ですか? レッスンのときはかなりスパルタなので、そういう人はいないかな」

 アルバムには名曲「エル・クンバンチェロ」やおなじみの「ルパン三世のテーマ」などを収録。さらにブックレットには水着カットまで。「多くの人にクロマチックハーモニカを知ってもらいたいんです。そのためには水着もありかなと」。大きく羽ばたくか?