リオ五輪注目選手・猫ひろし 最大の武器は「やり続ける」という才能

2016年07月30日 17時10分

カンボジア代表としてリオ五輪に出場する猫ひろし

 リオデジャネイロ五輪が間もなく開幕するが、個人的に最も注目しているのは男子マラソンにカンボジア代表として出場する猫ひろし(38)だ。

「芸 人が五輪に出る」という冗談みたいな話をホントに実現させてしまった。4年前のロンドン五輪にも一度は出場が内定したが、国際陸上競技連盟から「カンボジ アの国籍取得から1年未満かつ連続1年以上の居住実績がない」と指摘され出場を逃した猫。その後の4年間もカンボジア人として五輪出場を目指して努力し続 けた。

 そもそも猫が初めてフルマラソンを走ったのは、2008年の東京マラソンで、この時の記録は3時間48分57秒。現在の自己ベス トは15年に出した2時間27分48秒だから、実に1時間20分も縮めたことになる。しかも初マラソンの時点で30歳を超えていたのに、ここまで成長する のだから驚くばかりだ。

 猫が最初に「カンボジア国籍を取って五輪を目指す」と宣言したのは、10年2月の東京マラソンに出場する少し前 のこと。だがそのころ、信じる人など全くいなかった。当時はまだ本人が「3時間を切るのが目標」というレベルだった上、カンボジア国籍取得もギャグとしか 思えなかっただけに、周囲からは「芸人一流のシャレ」ととらえられていたのだ。

 ところが猫は本気だった。カンボジア政府に積極的に働きかけるなどして、とうとう11年11月にカンボジア国籍を取得してしまった。

 猫が芸人として活動したころを知るお笑い関係者は「最初は『彼だけは絶対売れない』と思った(笑い)。不器用だったし、気の利いたコメントなど一切できなかったからね。ただ一つのことをずっとやり続けることができる我慢強さがあった」と明かす。

  当時の猫は「東京ダイナマイト」のハチミツ二郎やマキタスポーツらといっしょに、インディーズの芸人として活動していた。「当時は、猫の鳴き声である 『ニャー』と言ったり、意味もなく『ポーツマス』などと連呼するネタをやっていた。ウケなくてもやり続けることで徐々に定着するようになっていった。マラ ソンもやり始めたら、芸人の活動と並行しながら毎日何十キロと走っていた。やり続けることができるのが、彼の才能でしょう」

 猫はかつて 「僕にとってマラソンはネタ。芸人としての引き出しの一つと思っている」と話したことがある。国籍を変えて五輪に出場することに、今でも賛否両論があるの は事実だが、お笑い芸人は“話題になってナンボ”の世界。芸人がオリンピックに出るという、前代未聞のことをやってのけた男の晴れ舞台をしっかり見ようと 思う。