22日に日本でもサービスが開始されたスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」。この週末には全国各地で「ポケモンGO」の利用者によるトラブルが頻発した。

 自転車に乗りながら「ポケモンGO」を操作していて歩行者と接触したり、歩道と車道の段差に気付かず転倒してけがをするなどは、まだかわいいもの。

 画面を見つめたまま原付きバイクで200メートル以上走行したり、車を運転しながら画面を操作して検挙された例も多数あった。

 自転車や車を使わない利用者でも、立ち入り禁止区域や私有地に無断で侵入しトラブルになった例もある。

 参拝や見学といった本来の目的以外で大勢の人が集まり混乱を招くのを警戒してか、年間600万人以上が訪れる島根県の出雲大社は、境内での「ポケモンGO」の使用を禁止すると公式サイトで発表した。

 また、群馬県の世界遺産・富岡製糸場では、敷地内でのスマホ使用に関し注意喚起を促す看板を掲げた。

 このように対策に乗り出した全国各地の有名な観光名所以外でも「ポケモンGO」の利用者によるトラブルは続出している。

 関東近県のあるお寺の住職が語ってくれた。

「夜中に境内で物音がするので、何事かと思い見回ってみたところ数人の若者がスマートフォンを片手に歩きまわっていた」という。問いただしたところ「ポケモンGO」の利用者だった。

「普段は、昼間に檀家さんやご近所さんが散歩に訪れる程度で、夜中に人が来ることなどなかったのですが、この週末は大変にぎやかでした」と苦笑いだ。

「そもそも神社仏閣は神聖な場所です。ゲームが悪いとは言いませんが、そのあたりは節度を持って楽しんでいただければ…。また、ゲームを配布する側も、モンスターの出現場所にふさわしいかどうかを踏まえて設定していただければ…」と利用者だけでなく、ゲームを配信する側にも苦言を呈した。

 さらにネット上には、この騒動に便乗して一儲けをたくらむやからも登場している。

 大手オークションサイトには「ポケモンGO」を楽しむためのアカウントの育成を“代行”するものや、レアモンスターをゲットしたアカウントを販売するものまでいる。

「ポケモンGO」の公式サイトでは、アカウントの売買や交換は不正行為にあたるとしているにもかかわらず、レベルを20ほど上げる“代行”が2万円ほど、レアモンスター付きのアカウントが10万円以上の値段で取引されている。

 先にサービスが開始された米国では、ドローンを利用してポケモンをゲットする代行業者まで現れているという。日本でも同様のことを考える者が現れてもおかしくない。

 これから子供たちが夏休みに入り、さらにヒートアップが予想される“ポケモンGO狂騒曲”は、まだ始まったばかりだ。