夏になり、気温や湿度が上がってくると、池などで奇妙な光景が見られることがままある。水草や藻が異常繁殖して湖面や川を覆ってしまった、という報道を耳にしたことがある人も多いだろう。

 千葉県の雄蛇ヶ池で報告された「未確認生物」騒動もこの事例に似たものであった。

 昔から大蛇がすむと言われており、千葉県の心霊スポットとしても知られている雄蛇ヶ池で、ある日突然大量のスライムのようなゼリー状生物が発生するという事件が起きた。

 その物質は半透明で砂色、表面に白い斑点がありゴルフボールの表面のようにでこぼこしていたという。これらはひとかたまりで球状になって水中に浮かんでおり、小さなものは手のひらに載る程度、大きなものは大人で一抱えあるほどだったという。水を含んでいるためか見た目より重く、持ち上げたりするのには苦労したそうだ。

このスライム状の物体は、雄蛇ヶ池で発生したことから「オジャッシー」と名付けられた。

それまでは報告されておらず、また姿も見えなかった謎のスライム状物体。果たしてその正体は何だったのか。文字通りゲームに出てくるようなスライム型のモンスターか何かだったのか?

 正体不明のスライム状の物体は、調査の結果後に微生物の一種であるオオマリコケムシの群体であることが判明した。オオマリコケムシはアメリカ原産で、日本に持ち込まれた外来種である。日本では1972年に山梨県の河口湖にて発見された事例が初めてだとされている。

 本来の個体は1ミリにも満たない大きさなのだが、群体を形成する際に寒天状の物質を分泌して別個体と連結していくため、大きさが加速度的に成長していくことになる。そのため、今までなにもなかったはずの水中に巨大な物体が浮かんでいた、という事例が起きることになるのだ。

 オオマリコケムシがここまで大きく、また大規模に繁殖するには条件がある。一定の気温があり、住処である湖沼の水質が悪化すると増える傾向にあるため、夏から秋にかけて爆発的に増える様子が確認されるのだ。毒性などはないが、取水口に詰まってより水がよどんでしまう原因になったり、他の水草や魚などの生物がすみかを圧迫されてしまう可能性も考えられる。

「オジャッシー」の発生は、水質汚濁や環境汚染が起きていることの知らせと言えるかもしれない。

(提供=ミステリーニュースステーションATLAS