漫才日本一を決める「M―1グランプリ2016」のエントリー受け付けが6月28日に始まった。同日、都内で行われた開催会見には、昨年決勝に進んだ「馬鹿よ貴方は」「メイプル超合金」など、エントリーを表明した11組のコンビが参加した。

 そうしたなか、特別ゲストとして会見に参加した前回優勝のトレンディエンジェルは、今年の大会には参加しないことを表明。斎藤司(37)は「M―1は楽しいから出たいが、2人で会議した結果、今年出るメリットがないと思った」。相方のたかし(30)は「過去のM―1優勝者を見ても、得している印象がないので」と不参加の理由を明かした。

 過去、M―1で優勝したコンビが翌年以降の大会に出場したケースは何度かある。しかも、それほど悪い成績ではなかったが、2度目の優勝を果たしたコンビはいない。

 2003年に優勝したフットボールアワーは06年に出場。3組で優勝を争う最終決戦にまで残ったが、チュートリアルに敗れ、準優勝に終わった。08年優勝のNON STYLE、09年優勝のパンクブーブーは優勝した翌年に出場したが、いずれも3位という結果に終わっている。

 お笑い関係者は「3組とも最終決戦に残ったわけだから、優勝経験者にふさわしい実力は見せつけた。でも、優勝した時の印象が強すぎて2位や3位ではほとんど印象に残らないで終わってしまう。たかしが言う『得している印象がない』というのは、それを指しているのでは」と指摘する。

 M―1は決勝進出するだけでも大変なこと。それが2位や3位ではなく、優勝しない限り印象に残らないとなれば、漫才師にとっては相当厳しい戦いになる。

「賞レースは新鮮さも大事。あまり知られていない無名のコンビの方が有利だから、優勝経験者はどうしても不利になる」(同)

 トレンディエンジェルは昨年の優勝で、仕事が一気に増えているだけに、出場しないのは賢明な選択といえそうだ。