テレビドラマの視聴率は15~20年前の半分とまでいわれて久しい。低迷する業界で救世主として注目されているのが、女優業に進出するテレビ局の元女子アナたちだ。「下町ロケット」(TBS系)に出演した元フジテレビの高島彩(37)、14日に終了した「重版出来!」(同)で話題を呼んだ元朝日放送の赤江珠緒(41)に続き、今後は元フジテレビの加藤綾子(31)、元日本テレビの夏目三久(31)が女優デビューするという。

 自局のドラマに女子アナがチョイ役で出演するケースはこれまでにもよくあった。

「それを情報番組で流すことで番組宣伝になるから。話題づくりの一環として」(キー局関係者)

 だが、このところの流れは明らかに違う。昨年10~12月クールで放送され、平均視聴率18・5%のヒットを記録した「下町ロケット」に出演したアヤパンこと高島は、フリージャーナリスト役で本格的に女優としてお目見えした。

「重版出来!」第8話(5月31日)に出演した赤江も、ありがちなアナウンサーやキャスター役ではなく、伝説の漫画家の亡き妻役でしっかりと演技をこなしている。

 元局アナが本格的に女優デビューする流れは今後も加速するとみられる。

 別のドラマ関係者は「話す、伝えるという訓練がしっかりできているから、ツボにさえハマればそこらの女優よりも演技ができるんですよ。話題づくりと視聴率アップを狙う意味でも今後、元局アナを女優として起用する機会は増えていくと思います」と語る。

 さらに、元局アナのビジネス環境も影響している。

「最近、仕事が激減している事情があるんです。会社を辞めて華麗なフリーアナを夢見ていたのに、食べていけない同業の元局アナが大勢いるんです。“だったら女優に転身しよう”というわけですよ」(制作関係者)

 次なる女優デビューが決まったフリー女子アナの名前も複数挙がっている。

「まずは夏目三久。彼女こそドラマ界の本命と言ってもいいでしょう。そもそも、夏目は女子アナを志願する傍ら本当は女優になりたかったというのは有名な話。日テレを辞めてフリーになった理由も女優転身でしたからね。NHK大河ドラマ『真田丸』の下半期と、来年4月からの放送が噂される『半沢直樹シーズン2』(TBS系)への出演はほぼ堅い。両ドラマとも主役は同じ事務所の堺雅人ですから」(芸能プロ関係者)

 さらに、潜在視聴率を持っているといわれる人気女子アナの名前も。

「元フジのカトパンこと加藤綾子。古巣フジの『月9ドラマ』からオファーが来ているそうです。田中みな実も古巣のTBSドラマをはじめ、テレ朝からもオファーが来ており、本人も女優デビューにまんざらでもないそうなので、出演するでしょう」(事情通)

 ドラマ界が有名元局アナに目を付けたのにはある理由がある。

「知名度がある割に、女優としてのギャラは安い。人気にもよりますが、女優としては新人ですから、ドラマ1本当たりの出演料は、ゴールデン&プライム帯で1本10万円からと格安。セリフがあればさらに5万円プラスほど。なのに、視聴者は見知った顔が出ていると安心し、視聴習慣につながる。そういう心理的作用がある。今後、主役を張れるようになれば、1本100万円も夢ではないですからね」(関係者)

 トップ女優の野際陽子(80)も元NHKアナウンサーだった。元フジの人気アナ・八木亜希子(50)、同・山村美智(旧美智子=59)も最近は女優としても知られている。

 近い将来、元局アナの女優賞受賞者が誕生するのも夢ではない。