東京都の舛添要一知事(67)は政治資金の私的流用疑惑で、第三者による調査結果を6日にも公表する意向であることが2日、分かった。野党は徹底追及の構えだが、都議会で多数を占める自民、公明両党は、舛添氏への不信感を募らせつつも、15日まで開かれる議会で舛添おろしを主導する気配はない。こんな不条理が横行する都議会では、耳を疑いたくなる、とんだ“事件”が起きていた。

 舛添氏は自身が依頼したヤメ検弁護士による調査結果を7日に行われる都議会の代表質問までに公表するつもりだ。もっとも、結果を受けてどう釈明するかは答えが出ているとも。

「政治資金規正法はお金の入りには厳しいが、使い道に関しては私的だろうと罰則規定がない。舛添氏はあくまで法に抵触したか否かに焦点を当て、『問題はなかった』と説明するのは明白です」(永田町関係者)

 共産党都議団は2日、会見を開き、舛添氏の新疑惑として、4月に目黒区長選挙の候補者の応援に行くために公用車を利用していたことを明かした。「重大なルール違反だ。経費の返還を求める」と指摘した。

 さらに、今年4月までの1年余りで、公用車を使って美術館や博物館を39回視察していた調査結果も公表した。

 舛添氏は5月27日の会見で、美術館や博物館を視察した目的について「東京五輪・パラリンピックに向け時間延長や共通チケットなどで意見の聴取、協力を求めた」と説明した。

 しかし、同党都議団は「施設を調査した結果、7回は東京五輪への協力要請などしてなく、美術などの作品の鑑賞だけだった可能性がある。公私混同であり、(都議会の代表質問で)厳しく問いただしていきたい」とした。

 共産党は強い捜査権限を持つ百条委員会の設置を訴えているが、自民、公明両党は「(舛添氏の対応は)納得できない」と表面上は厳しい言葉を並べるものの、百条委員会どころか総務委員会への出席すら求める予定はない。

「舛添氏と犬猿の仲だった森喜朗元首相が舛添氏に好意的な発言をしたことから分かるように、舛添氏は自公の言いなり。都議選を来年に控え、自公の有利に働くよういいように使われるでしょう」(都政関係者)

 もはや議会の機能不全ともいえる事態だが、霞が関や永田町以上の“伏魔殿”といわれる都庁では、談合や裏工作など日常茶飯事でもある。その“闇”に触れたのが、2年前に「早く結婚した方がいい」のセクハラヤジを受け、注目を浴びた塩村文夏都議(37)だ。

 都議会関係者によれば、事件が起きたのは昨年12月末のこと。都議会にある塩村氏の控室で、連絡事務用の出納ノートがなくなっていることが判明。塩村氏は議会局へ紛失届を提出したうえで、控室の出入りが写っている防犯カメラ映像の閲覧を願い出たが、断られたという。

 すると1月末になって、ノートがこっそりと戻されていた。議会局の対応にしびれを切らした塩村氏が警察に相談したこともあり、議会局はようやくカメラ映像を開示したというが、疑惑とされる日は一部分が別のカメラによる全く違う映像が入り込んでいたという。

 結局、元データは消去されていたうえ、12月末から1月上旬にかけては、都議会内の防犯カメラがサーバー装置の故障で、データ自体が全くなかったというから驚きだ。

「ヤジ問題で体制側に弓をひいた塩村氏には、スキャンダル探しや嫌がらせがひどいと聞く。防犯カメラ映像の“不備”も何か不都合なところが写っているのを隠したと疑われても仕方ない。都庁はごますりしか考えていない都議や都職員がいて、何でもありの実態がある」(前出の都政関係者)

 塩村氏を直撃すると「(ノートが)なくなったのは事実です。防犯カメラ映像がなかったり、差し替えられたりで、気持ち悪いし、怖いとしかいいようがない」。

 テロが懸念される都庁は厳重な警備態勢がとられているはずだが、この防犯カメラの映像紛失・故障騒動を見てもわかるようにメチャクチャがまかり通る無法地帯といっていいありさま。巨大な力に守られた舛添氏が居座ってしまうのも無理はない。