中国にある北朝鮮直営レストランから今月逃げ出した美女従業員が、近く韓国へ亡命する見通しだという。韓国の聯合ニュースが5月30日報じた。4月にも集団脱北があったばかり。事態を重くみた北朝鮮当局は、従業員に外出禁止令や客との雑談禁止令を出したという。歌や踊りのショーもこなす北朝美女に、かつてはお触りなどもできる店だったが、今や本国顔負けの厳しい監視態勢で客を迎える“塩対応”となってしまい、存亡の危機を迎えている。

 韓国当局は中国で北朝鮮が経営するレストランから従業員が逃げ出し、タイで韓国行きを待っていると認めた。韓国メディアによると、中国内陸部・陝西省西安の店にいた女性3人という。

 4月には浙江省寧波の店から北朝美女ら13人が脱北。

「南朝鮮(韓国)の国家情報院(諜報機関)のゴロツキが拉致した」と北朝鮮は主張し、国連人権理事会に救済を求めた。その上で彼女たち全員の写真と氏名を公開したり、泣き叫ぶ家族のインタビューをネット配信し、怒りをあらわに。

 中国某都市の北朝鮮レストランを最近訪れた現地駐在員は「すさまじい緊張感のなかで飯を食った」という。4月の集団脱北直後、中国各地の北朝レストランに韓国メディアが潜入取材で押し掛けた影響とみられる。

「ケータイをポケットから出しただけで『撮影はダメです』と美女が注意してきた。食事中はジロジロ見張られ、異様な緊張感が悪影響を与え、客は私たち以外は誰もいなかった」

 中朝国境を行き来するライターによれば「美女軍団は以前から買い物など外出時に集団行動が義務付けられていたが、脱北騒動後は外出自体が禁止になり、客とも必要以上の会話をしないようにと通達が出たようだ」という。

 そもそも美女の多くは平壌の裕福な家庭の子女で、2~3年の派遣期間を終え帰国しても、食うに困らず「それなりの暮らしができるはずだ」と同ライター。そんな娘たちが南行きを選んだ理由について、韓国メディアは「韓流ドラマを見て、豊かさにあこがれた」と報じている。

 だがライターは「最高クラスの“成分(北朝鮮の身分制度)”に位置する女性たちが、そんな理由で脱北するとは思えない。北の主張通り、国家情報員の息がかかったエージェントが、よっぽどの甘言を持ち掛けたとみるのが自然」と指摘する。

 つまるところ、レストラン側も脱北抑止のため客との距離を置く“塩対応”に変わってしまったというわけ。

 前出の駐在員によると、以前は「1曲100元(約1700円)のチップで、カラオケをデュエットするとき見つめ合ったり、手をつないだりできた。歌いまくれば、腰に手を回したついでに尻までいけた」が、今は無理だという。韓国政府も今年3月、海外駐在員に北朝レストランへの入店自粛を求めており、客離れは加速する一方だ。

 脱北美女たちはこの先どうなるのか?

 ある北朝マニアは「韓国でライブ活動やレストラン展開をしてほしい」と期待する。「最近韓国では、脱北美女たちを集めたトークバラエティー番組『いま会いに行きます』が大人気。日本の『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)みたいなぶっちゃけトークがウケている」(地元芸能関係者)のも追い風になりそうだ。

 ただ、韓国の民間研究者からは「韓国社会では言葉や教育制度の異なる脱北者は基本的に冷遇される。水商売やエロ系の仕事をやらざるを得なくなるのでは」という指摘も出ている。