東京・武蔵野市在住の現役女子大生アイドル・冨田真由さん(20)が、男性ファンにナイフで20か所以上メッタ刺しにされ、意識不明の重体となった。この事件の影響で、アイドルやアニソン歌手による握手会やお渡し会が中止になる事態が起こっている。

 アイドルグループを手掛ける芸能プロ関係者は「こうした事件の後はネット上で襲撃予告をにおわす書き込みをする者や、模倣犯が出る可能性がある。すでに多くの有名アイドルグループが『模倣犯に気をつけるように』と警備体制を練り直しています」と明かす。

 今回の事件で逮捕された住所・職業不詳の自称岩埼(いわざき)友宏容疑者(27)は「プレゼントを送り返され、問いただしたが、あいまいな答えだったので刺した」などと供述している。

 ファンからのプレゼントに対し、アイドル事務所サイドはどのような対応を取っているのだろう。

 前出の芸能プロ関係者は「名の知れたアイドルグループはファンからのプレゼントにルールを設けている。事前に上限金額、大きさ、飲食物NG、使用・開封済みNGなど事細かに決まってますが、前提としてメンバーへの手渡しは禁止、手に渡る前に事務所スタッフが厳重にチェックして“問題なし”と判断しないと渡さない。あとは、よほど高価なモノでもない限り、基本的に送り返すことはしない。送り返す行為は大変トラブルになりやすいからです」と語る。

 高価なモノは、事務所名義で「高価なプレゼントは受け取れないことになっております」などという文面に加え、感謝の言葉を付けたりフォローする必要があるという。

「高価なモノを受け取ると、ファンは見返りを求めてしまう。送り返す場合はタレント本人が“拒絶した”と思われないようにする。たとえ、フリーで活動していても、架空の事務所名を使って送り返すことで、トラブル回避につながる」と同関係者。所属事務所を離れてフリーになっていた冨田さんは対処がうまくできなかったのかもしれない。

「近年のアイドルブームもあり、大手事務所に所属していない“地下アイドル”は増える一方。警備も手薄で一般のアイドルよりもファンとの距離が近いため、セクハラ、ストーカー被害なども増加している。こうした事件が今後も起きないとも限らない」(同)

 距離感を見失ったファンの暴走を止めることはできないのだろうか。