再選ピンチか。多額の海外出張経費や公用車でのひんぱんな別荘通いが問題視された東京都の舛添要一知事(67)が主に知事就任前、国民の税金が含まれる政治資金で、正月に千葉県木更津市に家族旅行した疑いが浮上した。11日発売の週刊文春が報じた。2014年2月の就任から任期の半分が過ぎた舛添氏。当然、次回選挙当選で2期目を務めて20年東京五輪・パラリンピックに開催都市首長として臨むところだが、相次ぐ批判で“待った”の声も上がった。

 週刊文春は舛添氏の3つの政治団体の政治資金収支報告書(2012~14年)を精査した結果、政治資金規正法違反の疑いがあると報じた。

 千葉県内の温泉リゾートに家族で宿泊した際の支出を「会議費用」の名目で政治資金収支報告書に記載したが、同誌の取材では会議の開催は確認できなかった。自宅近くのレストランで家族との飲食に使った費用も経費として計上されているという。同誌の取材に舛添氏は「すべて法的に処理しています」と回答している。

 同誌の報じた不正疑惑が事実ならば、舛添氏は旅行代金を国民の税金で支払い、会議費用を虚偽記載したことになる。

 公用車を利用して神奈川県湯河原町の別荘に通っていたことが先月末に同誌で報じられ、問題化した舛添氏。都の規定に反していないとはいえ、ひんぱんな利用や危機管理上の観点などから批判を浴びた。当初は「問題ない」としていたが、9日に「今後は原則として公用車は使わない」と転じ、幕引きを図った。その直後、またも都民の怒りを買いそうな新たな疑惑が持ち上がった。

 都知事選の際に舛添知事を応援した自民党関係者が語る。

「読んだ記事は、常識に照らし合わせてみても国民から批判を受けるだけの内容でした。都議会自民党内からは『(文春の取材に対して)説明しきれてない。舛添を東京五輪・パラリンピックで東京都知事にしておきたくはない』と怒りの声が上がり、評判が悪い。知事としての道義的責任が問われて当然です」

 舛添氏をめぐっては、かねて「都市外交」の一環として行われた海外出張の経費が高すぎるとして都議会野党などから批判され、出張費が適切かを精査する検討会が都に設置された。

 政治とカネに関しては参院議員時代の07年、自宅や別荘を法人名義にしていたことが“資産隠し”と一部で批判され、「問題ない」と説明している。都知事選当時には、過去に代表を務めた新党改革への政党助成金などが、ルール違反となる同党の借金返済に使われたのではないかとの疑惑が指摘されたこともあった。いずれも不正が認められたわけではないが、カネに関する疑惑は今回が初めてではない。

 都知事前任者の猪瀬直樹氏(69)は不透明な借入金問題で辞職。舛添氏の件は猪瀬氏とは内容が異なるが、カネにまつわる問題が拡大すれば立場は苦しくなりかねない。18年の選挙で再選を果たせば、東京五輪・パラリンピックにホストシティーの首長として臨む栄誉に浴する。だが、都民の怒りを買い、都議会与党の自民党にソッポを向かれたら、再選も危うくなりかねない。

 リオデジャネイロ五輪が8月に行われるブラジルでは、国家会計の不正問題からルセフ大統領の弾劾裁判が行われる方向で、五輪期間中は職務停止の危機にある。招致の立役者だったルラ前大統領も今や汚れた政治家扱い。

 舛添氏の問題が拡大すれば、五輪開催都市で相次ぐ関係政治家のスキャンダルとなる。

 舛添氏は10日、東京・永田町の内閣府で開かれた第11回東京圏区域会議に出席。終了後、報道陣から「13年の正月に千葉県木更津市のホテルに宿泊していますね、これは…」と聞かれると「今、それはちょっと! 今日はコレ(特区会議)の話なんで、やめていただきたいと思います!」と険しい表情で答えた。

「いつ説明して答えてくれるのか?」と改めて問われると「定例会見があるときにいらしてください! はい!」と早口でまくしたてた。

 動揺を隠せなかった舛添氏。13日の定例会見で国民、都民を納得させる説明ができるか。