舞台上で急死したコンゴの国民的歌手の波瀾万丈人生

2016年04月27日 16時00分

「ルンバ・ロックの帝王」として知られるコンゴ(旧ザイール)の国民的歌手パパ・ウェンバさんが4月24日、コートジボワールの最大都市であるアビジャンで行われた音楽祭の公演中に倒れ、その後、病院で死去した。66歳だった。死因は心臓発作。ステージ上であおむけになって倒れ込む様子は、現地テレビ局で生中継された。

 1949年、当時のベルギー領コンゴのカサイ・オリエンタル州の村ルベフで生まれた。69年から伝説のオルケストル(バンド)「ザイコ・ランガ=ランガ」のオリジナルメンバーとして活動を開始。77年には自身のオルケストル「ヴィヴァ・ラ・ムジカ」を結成し、国民的スターとなった。

 ザイールの伝統音楽とロックを融合させた無骨でパンチのあるサウンドが特徴。「ルンバ・ロック」「ルンバ」と呼ばれ、日本にもファンが多く、旧ザイールの公用語だったリンガラ語から「リンガラ・ポップス」とも呼ばれた。86年には「ヴィヴァ――」として来日公演も行った。

 80年代後半、活動の拠点をキンシャサからパリに移したウェンバさんは、自らを中心とする国際的なグループを結成。白人ミュージシャンや女性歌手をメンバーに招き入れ、アフリカはもとより欧米でも高い評価を受けた。

 20年近くウェンバさんの写真を撮り続けていた写真家の酒井透氏は「ウェンバの功績の一つはキューバ音楽をベースにしながら、ザイールの伝統音楽とロックを融合させ、独自のポピュラー音楽を作り出したこと。もう一つは音楽の中にファッションを取り入れたこと。ヨウジヤマモトやジャン・ポール・ゴルチエなど、ブランドの洋服を着てマイクを握ったのです」と語る。

 ザイールのミュージシャンは普段着でステージに立っていたが、ウェンバさんがステージに取り入れたファッションは一大ムーブメントとなり、若者たちに広まった。それがコンゴを発祥の地とするサプールという文化。全身高級ブランドに身を包み、街を闊歩するおしゃれな若者の集団を指すまでになった。