先月31日に大阪市内の天満天神繁昌亭で行われた上方落語協会の次期会長候補者選挙で、演歌歌手・紫艶(しえん=38)との不倫問題に揺れる桂文枝(72)が最多得票を獲得し、候補者として再選された。現会長の文枝は一時、「選挙の辞退もありうる」と言われていたが、事実上の再任へ。再選劇のウラには最近、マスコミ恐怖症に陥ったかのような文枝の“作戦”があった。

 次期会長候補者選は非公開のため、票数やどんなやりとりがなされたかなどは不明だが、選挙終了後に報道陣に応対した副会長の桂春之輔(67)は「相変わらず陽気な雰囲気の中で、絶えず笑いを取りながらやってました。何もやましいところもないし、堂々としております。(非公開だが)いっぺん、選挙の模様を皆さんにお見せしたいくらいです」と笑いながら様子を明かした。

 報道陣から「文枝の不倫騒動について厳しい批判などはなかったか?」と聞かれると「特にそのことで会長への資格うんぬんだとか、糾弾するだとかの意見はありませんでしたよ。皆さんのご期待とは、ちょっと違うかもしれませんけど」と冗談交じりに説明した。

 当の文枝は姿を現さず。関係者によると、長年司会を務めるバラエティー番組「新婚さんいらっしゃい!」(テレビ朝日系)の収録を福井県で行っていたため、欠席したという。

 もちろん仕事のスケジュールが前から入っていたのは事実だが、テレビ局関係者は「3月31日に候補者選挙が行われるのを会長が知らないはずがない。これでは“逃げた”と言われても仕方がないのでは」と指摘する。

 それほど文枝は現在、報道陣の前に出ることを極端に嫌がっているということだ。

「昔はすごく取材に協力的だったのに、今は“マスコミ恐怖症”に陥っている。紫艶との不倫騒動を聞かれるのが、相当怖いようだ」(お笑い関係者)

 文枝が報道陣の前に出たがらなくなったのは騒動発覚後の2月22日、大阪市内で行った「創作落語の会」の会見が原因だという。この場で文枝は「落語会の会見でこんなに来ていただいて」「独居老人としての心の安らぎを」などと、何とか笑いに変えようとしたが、ほとんど笑いは起きず、うなだれる表情を何度も浮かべた。

 そのうえ騒動発覚直後、文枝は不倫の事実すら認めなかったがその後、証拠となるような事実を何度も報じられた。揚げ句の果てには、自身の全裸画像が紫艶のフェイスブックにアップされてしまい、どうにも言い訳できない状況に追い込まれてしまったのだ。

 このため、一時は「会長候補選を辞退するのではないか?」ともウワサされたが、「もし辞退したら、その方が報道陣の前に出ざるを得なくなる。それで辞退しなかったのだろう」(同)。

 2003年から会長職を務める文枝は、ここまで7期、14年にわたって同職を務めてきた。この間の功績が非常に大きかったのは事実だ。06年には、上方落語唯一の寄席である天満天神繁昌亭をオープンさせた。大阪に定席の寄席ができたのは、実に約半世紀ぶり。現在でも連日、ほぼ満席の盛況が続いている。

 14年間も会長として上方落語協会を引っ張ってきた文枝が退任するとなれば、関西の芸能界では一大事件だ。

「そうなると会見を開かざるを得ない。それなら辞退せずに再選となった方が、報道陣の前に出なくても済む、という思いがあったのでは」(同)

 しかも今回、次期会長候補者選挙で最多得票を獲得し再選されたが、文枝にとって8期目となる次期も会長を務めるには、5月に行われる理事会で正式に承認される必要がある。

「候補者として再選され、理事会で承認されないなんてことはありえないが、それまでは『まだ決定してないので』と報道陣の前に出ることを先送りすることもできるでしょうね」(同)

 5月までに騒動が沈静化するのを文枝は期待しているのかもしれない。