本紙既報通り、「日活ロマンポルノ」から名を改め「日活ロマンポルノ リブート」として28年ぶりにロマンポルノを製作する映画会社「日活」が、新作を制作する5人の監督を発表した。その顔ぶれは映画関係者をも驚かせるほどで、海外のメディアでもニュースとなっている。2016年末から公開される作品群では、5人の監督がプライドをかけた“ロマンポルノ決戦”を繰り広げそうだ。

 新作ロマンポルノを世に送り出すのは「黄泉がえり」の塩田明彦監督(54)、「凶悪」の白石和彌監督(41)、「冷たい熱帯魚」の園子温監督(54)、「リング」の中田秀夫監督(54)、「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲監督(47)の5人。いずれも映画界の第一線で活躍し、世界の映画祭でも名をはせる巨匠だ。

 この5人はいずれもロマンポルノ作品未経験。起用の理由は「世界に通用し、ロマンポルノ作品を初めて監督する方。また、映画監督を志した若手時代にロマンポルノに刺激を受け、その魂を未来に継承していただきたいという思いからオファーいたしました」と日活の宣伝担当者は語る。5人の監督にはそれぞれテーマが与えられている。「塩田監督×バトル」「白石監督×社会派」「園監督×アート」「中田監督×レズビアン」「行定監督×ロマンス」とそそる企画になっている。

 製作時のルールも厳格だ。「10分に1回は絡みのシーンを作る」「上映時間は70~80分程度」「制作費は5作品とも同じ」「撮影期間は1週間」。

「監督たちにとっては言い訳できないですよね。お金の計算から作品のクオリティーまで全てを範囲内でコントロールしなくてはいけない。映画監督として真の実力を問われることになりそうですよ」(別の映画会社関係者)と業界で早くもその成り行きが注目されているという。手を抜いた恥ずかしい作品を撮れば、それが即、監督としての価値を落とすことにつながるだけに、一寸たりとも手が抜けない。

 海外メディアでもニュースになり、注目されている。「海外でポルノといえば、日本のAVのような感覚があるが、ロマンポルノはアートとして人気がある。しかも世界で名の知れた監督が撮影するということで、早くも海外買い付け担当者から問い合わせが増えています」と前出の日活関係者。

「日活ロマンポルノ」は1988年に製作を終えており、「リブート」は28年ぶりの復活となる。上映されるのは東京・新宿の「新宿武蔵野館」。同館関係者も「なかなかスクリーンで成人映画を見る機会もなくなりましたが、懐かしい体験として、また、若い方には新しく新鮮な体験として、このロマンポルノという文化を体感してほしい」と期待を寄せる。世界でも通用する5人の監督が新たなロマンポルノの世界を見せてくれるはずだ。