またストリップの灯が消える。東京・新宿の老舗ストリップ劇場「新宿TSミュージック」(以下TS)が来年1月15日をもって、営業終了となることが25日、本紙の取材で分かった。ビル家主からの立ち退き訴訟で、3月10日の控訴審判決前に和解が成立したもの。

 苦渋の決断だった。TSは2014年、劇場が入るビルの家主らに立ち退きの民事訴訟を起こされ、一審で敗訴。控訴審を前に劇場存続を願う1000人を超えるファンの署名も提出されたが、審理では新たな主張や資料提出は認められず、一審同様の判決が予想される中、家主側との和解となった。即時の退去ではなく、来年1月15日までの営業継続が認められた。

 TSは1977年に歌舞伎町にオープンして以来、数多くのアイドルストリッパーを輩出してきた。深夜番組「トゥナイト」「トゥナイト2」(テレビ朝日系)では劇場から生中継されるほどの人気を誇り、ストリップの聖地としても知られている。

 裁判当初は敗訴した場合に他の場所への移転も検討されたが、風営法の縛りが厳しく、それもかなわないという。

 TSの岡野健太郎社長は本紙に「(来年1月での終了は)事実です。(法廷で)われわれの主張が通らなかったのは非常に残念」と肩を落とした。

 人気ストリッパーの鏡乃有栖は「なくならないでほしいとずっと思っていたので、すごくショックです。新宿の街になじんだ活気のある劇場で、お客さんも良い雰囲気をつくってくれた」と涙ぐむ。

 TS関係者は「長年やってこられたのはファンの皆様に支えられてきたからこそで、感謝でしかない」と話す。

 営業終了は決まったが、今後はファイナルへ向け、スペシャル公演や特別イベント等などを企画していくという。

 黄金期には、劇場に入りきれずに歌舞伎町に連日、長蛇の列をつくったTS。残る11か月、全国から懐かしむファンの大集結が予想され、“伝説”が再現されるのか――。