ハリウッド映画「超大作」から「実話」路線変更の理由

2016年01月23日 16時00分

映画「ザ・ウォーク」のワンシーン

 ハリウッドで実話ムービー製作がブームになっている。ここ数年はアメコミ原作のシリーズものや、現在公開中の「スター・ウォーズ」といった超大作が目立った。

 しかし今年は様子が違う。日本でも、23日からはニューヨークのワールドトレードセンターの間にワイヤを張り、命綱なしで綱渡りをしたフランスの大道芸人の実話「ザ・ウォーク」(ロバート・ゼメキス監督)が公開された。

 30日にはFBI史上最大の汚職事件を描いた実話で、ジョニー・デップ主演の「ブラック・スキャンダル」(スコット・クーパー監督)が公開。また東西冷戦下のソ連に捕らえられた米パイロットを救出する弁護士を描いた実話で、トム・ハンクス主演の「ブリッジ・オブ・スパイ」(スティーブン・スピルバーグ監督)が公開中だ。

 米国では今年、主婦を家事から解放した“ミラクル・モップ”を発明したシングルマザーの「JOY」、第2次世界大戦中に日本軍の捕虜になった五輪陸上選手の「不屈の男 アンブロークン」、チリの鉱山で生き埋めになった33人の生還を描いたアントニオ・バンデラス主演の「THE 33」など、多くの実話映画が公開される。

 洋画宣伝マンは「米国の観客は、アメコミ原作や大作映画に飽きがきたということです。かといって、ドキュメンタリーでは客が入らない。だから実話ムービーなんです」と明かす。

 また製作サイドの懐事情も映画ファン心理と合致しているという。

「大作の製作費のインフレが進み、1作失敗したら会社が傾く。それというのも、面白い小説があったとして映画化権の買い取り値が高騰し、オリジナル脚本を書く脚本家へのギャラも高騰。さらに壮大な世界観を表現するセットやCGも高騰。一方、誰もが知っている実話を基にして脚本を作れば安く済み、セットやロケも安い。その分、監督と俳優にカネを掛けられます」(同)。映画界の傾向は数年ごとに変化していく。