芥川賞はタレントの登竜門か 年2回、2人受賞に「多すぎ」の声 

2016年01月21日 10時00分

 第154回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、都内で開かれ、芥川賞に滝口悠生さん(33)の「死んでいない者」と本谷有希子さん(36)の「異類婚姻譚」、直木賞には青山文平さん(67)の「つまをめとらば」が選ばれた。選考後、3人は都内ホテルで会見した。

 前回の芥川賞ではお笑い芸人の又吉直樹(35)が「火花」で受賞し話題になった。また、同時受賞の羽田圭介氏(30)は奇抜なキャラクターがテレビでブレーク。芥川賞作家が違った意味でも注目を集める象徴になっている。

 今回選ばれた2人も個性的な人物。埼玉で育ったという滝口さんに地元メディアが「埼玉への思いを」とコメントを求めるも、滝口さんは「…ないですね」。遠慮のない物言いが受けそうだ。

 また本谷さんはアニメ声優をしたり、ラジオのパーソナリティーをしたりと多才。本谷さんは「あのアニメのオンエアを見たときに、棒読み加減に絶望した。もう(声優は)ないと思う」と消極的だが、ルックスのよさは目立つだろう。

 もっとも芥川賞がタレントの登竜門化することには否定的な意見もある。出版関係者は「前回も2人受賞で今回も2人受賞。又吉さんと羽田さんが話題になったから、今回もということなんでしょうか。芥川賞は年に2回あるんですよ。ちょっとあげ過ぎな気がします」と首をかしげる。

 又吉らの受賞が決まったのが昨年7月。実に半年で4人の芥川賞作家が誕生しているのだ。当然ではあるが、「もっと厳選すべし」との声は関係者にも届いている。

 芥川賞の選考委員を務めた奥泉光氏(59)は「芥川賞はイベント的要素がある。年1作品というやり方にするだけの論拠を持てていない。(同振興会の事務局が置かれる)文芸春秋の体質なのか緩やかに運営されていて、それがいいと思う」と私見を述べている。