悲劇か、それとも幸運か!? 18日、開催される予定だった川口オート最終日は降雪のため中止。順延ではなく、開催打ち切りとなったため、元SMAP森且行(41)の一昨年8月以来、1年半ぶりの優勝はおあずけとなった。レースが行われていれば優勝が極めて濃厚だっただけに何とも残念…と思いきや、元盟友が分裂騒動の渦中にあるだけに、実は「これでよかったかも」の声が。どういうことか――。

 関東地方が見舞われた降雪は公営ギャンブルにも影響を及ぼし、18日午前6時に早々と中止打ち切りが決定した。GI競走とSG競走の場合は順延も可能だが、一般戦の場合は中止=打ち切りと定められているため優勝戦は自然と消滅した。

 ファンからの一般公募で名付けられた新車「ムラサメ」を今開催から投入。連日、超抜パワーを披露して圧倒的1番人気に応えていただけに、最終日は再び“森フィーバー”が起こるのではと予測する向きも多かった。

 優勝戦は森が6号車。そのひとつ外の7号車で対戦する予定だったもうひとりのV候補・若井友和(41)はこう振り返る。

「今の森のデキなら優勝の可能性はすごく高かったと思うよ。正直、今回は森の外からじゃ、とても勝てる気はしなかった。晴れでも雨でも、ね」

 開催中は互いのロッカーを行き来し、腹を割って話せる数少ない同期盟友の言葉だけに素直に受け止める必要がある。それだけ今回の森の仕事ぶり(整備)に敬意を表しているのだ。開催していれば優勝確率はかなり高かっただけに、森にとっては絶好のチャンスを逸したとみられるが、ファンの間ではこんな声も上がっている。

「確かに優勝してほしかったけど、今回は逆に中止で良かったのかもしれないなあ。これだけ騒がれているなかで勝つと、周りもうるさいからね。SMAP関連で森クンがクローズアップされるのは決して本意ではないはず。今の時期に森クンの優勝を純粋に祝福してくる人がどれだけいるか、わかってあげてほしい」

 森の現在の心情は察して余りある。“とにかくそっとしておいてほしい”。周囲にもそう漏らしているという。2月10日には今年第1弾SGとなる飯塚「全日本選抜」が開幕する。

 SGタイトルを目指して新車を仕上げるため心血を注いでいる最中に“トンチンカンな質問”で集中力が途切れることには嫌気も差している。

「優勝して変にSMAPに対するコメントを期待されるぐらいなら、今回は打ち切りで“表舞台”に出てこなかったのは長い目で見れば良かったんじゃないかな」(前出ファン)

 森がレーサーとしてピークを迎えたのは2008年9月の伊勢崎「オールスター」。愛車「メジャイ」を超抜仕立てにし、SG優勝戦で試走一番時計を叩き出した。今回の「ムラサメ」もその域に近づくだけのポテンシャルを秘めているのではとの声が選手間では聞かれている。それだけに、今回の優勝戦でどこまで驚異のタイムが出るのか期待していたオートファンも多い。

 森が大事な何かを語るとしたら一般戦の晴れ舞台よりも、やはり“日本一”になった時がお似合いだ。