桂春団治さん 完璧主義で2年間高座に上がらず

2016年01月17日 10時00分

故・桂春団治さん

 心不全のため9日に亡くなった落語家の三代目桂春団治さん(享年85)は高座で多くのファンを魅了した。“春団治”といえば、明治から昭和初期にかけて活躍し「爆笑王」の異名を取った初代のイメージが強い。豪快で私生活も破天荒だった初代は「芸のためなら女房も泣かす~」と歌われた名曲「浪花恋しぐれ」のモデルとしても知られる。

 だが三代目は、初代の破天荒なイメージとは違い、華やかな高座姿と洗練された話芸で多くのファンに愛された。その裏には春団治さんの、完璧な芸を追究する姿勢があったという。

 古典芸能に詳しい関係者は「春団治さんはネタの数は多くなかった。というのも、自分で『完璧にやれる』と自信があるネタしか高座にかけなかったんです」と明かす。

 そのため「皿屋敷」「代書屋」「野崎詣り」など得意といわれたネタは“絶品”と称された。

「2011年に亡くなった立川談志さんは毒舌で有名で、めったに人を褒めなかったけど『春団治さんは特別だよ』と言っていたほど」(同)

 晩年は体調を崩し、ここ2年ほどは高座から遠ざかっていたが、これも“完璧主義”の春団治さんらしい思いもあった。「年を取った落語家には、正座がつらいのでイスに座って高座を務める人も中にはいる。でも春団治さんは昔から『オレはああなったら、絶対に高座に上がらない』と言っていた。完璧な落語ができない限り、やるべきではないというポリシーだったのでしょう」(同)

 上方落語が戦後、衰退していたとき「四天王」と呼ばれた六代目笑福亭松鶴さん、三代目桂米朝さん、五代目桂文枝さんとともに春団治さんが尽力して復活させた。だが昨年3月の米朝さんに続き、春団治さんも亡くなり「四天王」は一人もいなくなってしまった。一つの時代が終わりを告げたといえそうだ。