「ピンクとグレー」の行定監督「これをジャニーズ映画と言う人の気がしれない」

2016年01月03日 10時00分

行定勲監督

 9日に全国公開される映画「ピンクとグレー」は、NEWSの加藤シゲアキ(28)による同名小説が原作。主役はHey!Say!JUMPの中島裕翔(22)と“ジャニーズ色”が濃い作品だ。だが、行定勲監督(47)が生み出したのはアイドル映画とはまったく違う、極上の青春映画。この原作のどこに魅かれ、なぜこの役者を使い、何を描こうとしたのか。監督に語ってもらった。

 ——原作の魅力は

 行定監督:幼なじみ2人に、女の子1人の三角関係というオーソドックスな構造がベース。でも加藤君はその構造をあえて利用している。ジャニーズ事務所で自分が見た芸能界の世界に、学生時代のリアリティーのあるディティールを盛り込んだ。『これは加藤シゲアキの半自伝なの?』と思わせるように作っている。

 ——テーマは

 監督:一番言いたかったのは、人の気持ちって理解しているようで、実は全然理解していない、ってことなんです。自分のことも分かっていない。だから身近な人すら幸せにできない。それに大切な人が死んでも1か月もたつと笑っていたりする。でも「ま、いっか、生きてるんだから」と。これが人間の図太さであり、強さ。そのくせ、くよくよ悩んだりする。この人間くささ、泥臭さですね。

 ——配役が非常に重要ですが、監督の意向だったのですか

 監督:中島君と(大貴役の)菅田将暉君はプロデューサーからです。柳楽優弥は完全に僕です。

 ——撮ってみて

 監督:とても良かった。菅田は非常に衝動的に演技する人間で、だからテーク1がすごく面白い。中島は逆に、テークを重ねていくごとにどんどん良くなっていく。真逆の2人がどこがオッケーライン?と探りながら繰り返しやっていく中で、いろんな発見をしていくんですよ。それが、ものすごく映画に反映されている。

 ——具体的には

 監督:友情を極めている点。短期間(3週間)で2人はものすごい親友になった。プロ意識から、この役は友情を深めないといけないな、というのはあったと思う。ただお互いへのリスペストが半端なくて。菅田もそうですけど、中島は本当に何でもできるんです。特に楽器は素晴らしく、ギターを弾きながらコミュニケーション取っているうちに、自発的にそうなっていったんですね。

 ——それが青春映画だという点を…

 監督:強めている。2人の中で、勝手に距離感やスピード感が出来上っていった。

 ——柳楽さんは

 監督:シナリオのときから決めていた。彼は若いとき(14歳)にカンヌ映画祭で賞をもらったけど、その後悩む時期があったと思うんですよね。それを全部振り切った上で今、役者として立っている。ファーストショットから素晴らしかった。

 ——ジャニーズ映画、アイドル映画という目で見る人もいそうだが

 監督:そういう人の気が知れない。オリジナルをゼロから書いた人間はすごく称賛されるべきなんです。覚悟がないと終わりまで書けないし、出版もされない。役者もそう。ポスターに『Hey!Sey!JUMP』の文字がない。これはジャニーズ事務所の覚悟。芝居を見てほしいという。そしてその彼らの意思をつなごうというのが、僕の覚悟。アイドル映画だったら、こんな映画にはしません(笑い)。

〈あらすじ〉売れない俳優の河田大貴(菅田将暉)は、ある日、幼少からの親友で大スターの白木蓮吾(中島)の遺体を発見する。その遺言(遺書)を実行した結果、大貴はスターの座を手に入れる。蓮吾の影を追う日々の中で、大貴はその死の“真実”に近づいていく。

☆ゆきさだ・いさお=1968年8月3日生まれ。熊本県出身。映画監督。01年「GO」で日本アカデミー賞最優秀監督賞受賞。04年「世界の中心で、愛をさけぶ」は興行収入85億円のヒットとなった。