24日に電撃発表された古舘伊知郎氏(61)の「報道ステーション」(テレビ朝日系)メーンキャスター降板が、波紋を広げている。かねて降板説は絶えなかったものの、高視聴率を維持し、約12年も続く番組をなぜ来年3月末をもって“卒業”するのか。水面下で繰り広げられたテレ朝内の暗闘を緊急リポート。早くも飛び出した政界転身説にも迫った――。

 すべての歯車はやはり3月27日の“古賀の乱”で狂ったようだ。

「報ステ」でコメンテーターを務めていた元経産省官僚・古賀茂明氏(60)が、最後の生出演で大暴走。テレビ朝日の早河洋会長(71)らの名前を出し、安倍政権に批判的だった古賀氏を降板させよ!という“圧力”が首相官邸側からあったことを示唆した。

 古舘氏は即座に「私としては承服できません。テレビ側から降ろされるというのはちょっと違うと思います」と反論。古賀氏が「私がこういうふうになることに(古舘氏は)『自分は何もできなかった。申し訳ない』と言いましたよね」と録音テープの公開をにおわせると、古舘氏は「こちらも、出させていただきますということになってしまう」とケンカ腰で迫った。

「完全な放送事故。ただ、メーン司会の古舘さんは番組側に立って抗議した」(テレビ関係者)

 この“古賀の乱”以降、古舘氏には「降板か」「官邸の言いなり」などバッシング報道が吹き荒れた。本紙日曜日付連続対談「言いたい放談」でおなじみのジャーナリストの上杉隆氏(47)は月刊「文芸春秋」で古舘氏が番組スタッフを“恫喝”する録音テープや年間12億5000万円にも上る高額な出演料が支払われている実情を暴いた。

「テレ朝はネガティブ報道から古舘氏をかばうことはしなかった。ただでさえ、古舘氏にしてみれば『番組を守ろうとしたのに…』という気持ちになってもおかしくありません」とは別のテレビ関係者。

 そればかりか、古舘氏を取り巻く“空気”は局内でも変わっていった。

「報ステ」の制作には古舘氏所属の「古舘プロジェクト」も深く関与している。事情を知る関係者によれば「古舘氏のあずかり知らぬところで、降板話が進められていたようです。報ステ枠は制作費も含めれば年間ウン百億円の“巨大利権”。当然、業界には報ステ枠を狙っている人間は多い。官邸とテレ朝に近い人物が、暗躍していたという情報もある」。

 古舘氏は24日、報道陣に対して「12年を一つの区切りとして、また別な挑戦をさせていただきたいとお願いした」と自ら申し出た円満降板を強調したが、局内での暗闘に嫌気がさした可能性はある。後任には本紙既報の池上彰氏(65)のほか、宮根誠司(52)や羽鳥慎一(44)の両フリーアナウンサーの名前が浮上しているという。

 一方で、気になるのは古舘氏の今後だ。

「かつて周囲に『自分がやりたいことをやるには、さらに上の立場にならなければいけない』と古舘さんは漏らしていた。規制の多いテレビ報道の現場を嘆いていたようだが、フリーキャスターの立場でさらに上となると、それこそメディア自体を経営してしまうか、政界に進出するしかない」(芸能プロ幹部)

 局内で干され、官邸からも目をつけられている古舘氏にとって、言いたいことが言える環境は、どこにあるのか。

 永田町関係者は「古舘氏が自民党から出るなんてことは100%ないでしょうが、野党各党は参院選へ向け、知名度が高い候補を探している。古舘氏が比例代表から出馬すれば100万票は堅い。野党統一候補としても喉から手が出るほど欲しいでしょう」。

 さらに降板の引き金になったともいえる古賀氏とのタッグ再結成も見えてくる。「降板騒動で古賀氏と古舘氏との蜜月関係は終わったとされますが、出て行った者同士でまた手を取り合ってもおかしくありません。古賀氏は市民運動を展開しており、2人で『I am not ABE』のプラカードを掲げれば大きな話題になるでしょう」(野党関係者)

 古舘氏が往年のマシンガントークと絶妙なアドリブの利いた話術を駆使すれば、選挙戦では全国で衆目を集めるところだ。3月末の最後の放送までに、古舘氏の心が政界に向いても何ら不思議ではない。