40代以上の男なら誰でも熱狂したことがある映画「ロッキー」の新章「クリード チャンプを継ぐ男」が23日から公開される。

 この作品はシルベスター・スタローン(69)演じるロッキー・バルボアが、ボクサーではなくトレーナーとして登場。シリーズにライバルとして登場したアポロ・クリードの息子アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)とともに世界を目指す物語だ。

 ロッキーがボクサーとして描かれた映画は1976年から2006年まで全6作。かなうはずもない圧倒的な強敵に挑む物語だった。男性客は熱い戦いと友情、テーマ曲に心を震わせた。

 ところが、実は第1作の日本公開時、これといってウリがなかった「ロッキー」は恋愛映画として宣伝されていたというから驚きだ。当時、スタローンはポルノ男優上がりの売れない俳優で、代表作は「イタリアの種馬」。そのスタローンが自ら脚本を書いたボクシング映画とあって、日本公開時に配給会社は宣伝方法に悩んでいた。

 宣伝マンは「米国の情報では『ロッキー』は無名の新人俳優による三流ボクサーを描いた作品でした。当時、日本で映画はデートを盛り上げるためのアイテム。アベックをいかに呼び込むかが宣伝マンの仕事でした。ボクシング映画ではボクシングファンしか来ないのでヒットは難しい。考えた末『エイドリアンとの恋愛映画。デートムービーとして勝負しよう』となった」と明かす。

 そして作ったチラシや劇場CMはボクサー姿のロッキーではなく、ロッキーと恋人のエイドリアンとのツーショット。「出色のラブストーリー」「15ラウンドを戦いぬくことに、ロッキーは永遠の愛をかけた」という言葉が強調された。

 いざ日本で公開、となる直前「ロッキー」は米アカデミー賞作品賞、監督賞、編集賞を受賞。日本でも大ヒットした。今回の「クリード」でもスタローンがアカデミー助演男優賞の最有力候補に浮上している。18日に公開された「スター・ウォーズ」最新作が注目を集めるなか、また1作目のように奇跡を起こせるか。