放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は17日、音楽家・佐村河内守氏(52)の「ゴーストライター問題」を取り上げた情報バラエティー番組「アッコにおまかせ!」(TBS系)の内容に「名誉を毀損する人権侵害があった」などとして、再発防止に努めるよう同局に勧告した。人権侵害による勧告は委員会による最も重い判断で9年ぶり。局関係者は「番組に“イエローカード”が突きつけられたようなもの。今度何かあれば即打ち切りの事態に発展する」と真っ青に。他局の同様の番組への影響も広がりそうだ。
問題となったのは2014年3月9日の生放送分で、ゴースト問題に関する佐村河内氏の謝罪会見を編集したVTRとスタジオでのトークなどの内容だった。
佐村河内氏は「健常者と同等の聴力を有していたのに、当該謝罪会見では手話通訳を要する聴覚障害者であるかのように装って会見に臨んだ」と印象付けられたとして、名誉毀損を申し立てていた。同委員会により問題視されたのは放送内でのナレーションやテロップ。社会的信用を低下させる部分があり、名誉毀損にあたるとして、同局に委員会の決定内容の放送と再発防止策を求めた。
委員会内には結論が異なる2つの少数意見があったことも公表されているが、勧告により「アッコ――」は局内でも非常に厳しい立場となる。
「勧告の判断は非常に重い。この件に加えて、同番組の取材方法などが一部で批判されていることなども上層部の耳に入っている。今後は同局幹部が生放送をリアルタイムでチェックする体制になります。今までのような番組作りでは『反省はあるのか』ということになるでしょうね」(同局関係者)
また「この決定はTBSだけでなく、情報バラエティー番組を抱えるほかの民放キー局にも波及しそう」とは別の制作関係者だ。そうなると「タレント弁護士」が、より重宝されるようになりそうだという。
「タレント弁護士は番組内でトークなどで一タレントの意見が法に触れそうな際、出演者として“ストッパー役”にもなれる。それ以外でも用意したVTRのチェック役などもお願いできますからね。コンプライアンス重視の流れの中で、価値は上がってきていますよ」(同)
昼の情報番組「ひるおび!」(TBS系)で活躍中の八代英輝弁護士(51)は司会の恵俊彰(50)を支えるいわば“第2の司会者”だ。また「サンデー・ジャポン」(TBS系)は長年、タレント弁護士を起用し、現在では細野敦弁護士が出演。松本人志(52)の「ワイドナショー」(フジテレビ系)では犬塚浩弁護士がコメンテーターとして起用されている。
今回の“アッコ問題”が新たなタレント弁護士を生むことになるかもしれない。
「アッコにおまかせ!」問題でタレント弁護士の需要拡大
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