放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は17日、佐村河内守氏(52)のゴーストライター問題を扱ったTBS系「アッコにおまかせ!」で、佐村河内氏の名誉を毀損する人権侵害があったとする決定を発表した。

「アッコにおまかせ!」は2014年3月9日の放送で、佐村河内氏の聴覚障害について、会見の映像などを使って「検証」や「論評」を行った。

 この放送について佐村河内氏は「『健常者と同等の聴力を有していたのに、当該謝罪会見では手話通訳を要する聴覚障害者であるかのように装って会見に臨んだ』との印象を与えるもので、名誉を著しく侵害された」として委員会に申し立てた。

 委員会はこれを受けて審理し、「普通に会話が成立」というナレーションとテロップを付して放送された佐村河内氏の謝罪会見の映像、アナウンサーによる「普通の会話は完全に聞こえる」との説明など、いずれも佐村河内氏が聴覚障害者と偽っているとの印象を与えるものと判断。「本件放送は申立人の名誉を毀損する人権侵害があったと言わざるをえない」とした。その上でTBSに対し、再発防止に努めるよう勧告した。

 一方、同じく佐村河内氏が人権侵害を申し立てていた、14年5月24日放送のフジテレビ系「IPPONグランプリ」については、委員会は「許容限度を超えて申立人の名誉感情を侵害するものとは言えず、放送倫理上の問題もない」との見解を示した。

 放送内容は、大喜利形式で「幻想音楽家 田村河内さんの隠し事を教えてください」というお題に、お笑い芸人たちが回答するというもの。佐村河内氏は「一音楽家であったにすぎない申立人を『お笑いネタ』として一般視聴者を巻き込んで笑い物にするもので、申立人の名誉感情を侵害する侮辱に当たる」として委員会に申し立てていた。