「第28回東京国際映画祭」が現在、都内で開催されている。残念ながら舞台裏では、一部の芸能プロ関係者による傍若無人な振る舞いが目立つ。


 同映画祭を取材するには、専用のプレスパスを取得しなければならない。もちろん、それ自体に問題はないが、実際はこのパスを取得しても、取材できないイベントがいくつかあるのだ。

 これは出演する俳優が所属する芸能プロの意向が大きい。

「最近、某大手芸能プロが、ある朝刊スポーツ紙と大ゲンカし、絶縁状態になった。東京国際映画祭でも、その芸能プロ所属の俳優が出演するイベントは、パスを持っていても、敵対する朝刊紙の記者はすべて取材できなくなっている」(映画ライター)

 今年はこんなこともあったとか。

「映画祭の初日、同芸能プロ所属の女優が出たレッドカーペットイベントは当初、『紙媒体は立ち入り禁止』となっていた。それもおかしな話なんだけど、なぜか同芸能プロの広報担当者が『朝刊スポーツ紙“5紙”は取材させる』と、勝手に中に入れた。もちろん、敵対する1紙だけは締め出してたけど」(同)

 本紙も昨年、こんな出来事に出くわした。事前にパスを取得し、同映画祭のイベント取材を正しい手続きにのっとって申請したが、当日になって担当者から電話があった。「取材陣がいっぱいでスペースがない。今日は会場に来ても中に入れないので、来ないでほしい」と通達されたのだ。

 あまりにも理不尽な通告だけに「きちんと申請したのにおかしいでしょう」「スペースがないとしても、なぜウチだけ外されるのか?」と抗議すると、担当者はしどろもどろになり「え~、後で必ず連絡しますので…」と言って電話を切った。だが、その後電話がかかってくることはなく、こちらが何度電話しても一切出なかった。

 どうしようもないのでもめるのを覚悟して取材に行くと、何ごともなかったかのように受付を通り、あっさり取材場所に通された。「いったい何だったんだ?」と不思議に思っていると、イベントには某国民的人気アイドルグループがサプライズで登場。同グループの所属事務所は、なぜか本紙を“NG媒体”にしているため「それでウチだけ外そうとしたんだ」と、理由が分かった。

 問題なのは、日本の映画界では普段から、映画会社が芸能プロの言いなりになっていることだ。

「あの媒体は呼ばないで」という指示を当然のように聞いている。今回もその“慣習”を踏襲しているわけだが、東京国際映画祭は海外メディアも取材に訪れる。主催者サイドは海外メディアにも「パスはあっても取材はできない」などと言えるのか? 出演者の言いなりになり、取材するメディアを選別する“ジャパニーズスタイル”は、世界では通用しないだろう。