マカオ “カジノから総合エンタメ施設”へ転換の背景

2015年11月02日 10時00分

130メートルからの眺めが望める8の字形観覧車「ゴールデン・リール」

 マカオは本当の意味でラスベガスを超えられるか? 中国の特別行政区マカオで10月27日に総合レジャーリゾート「スタジオ・シティ」がオープンした。従来型のカジノにあるようなVIPルームはなく、中国の中間層のファミリーを取り込むのが狙いだ。その背景には、習近平国家主席の“高級官僚などの腐敗撲滅運動”があると言われている。カジノの形を変えることがなぜ腐敗撲滅につながるのか? また、一大方向転換は、成功するのか?

 総工費32億ドル(約3860億円)をかけて造られ、27日のオープニングには世界的歌姫マライア・キャリー(45)らを招いたコンサート、さらには同施設が舞台となった短編映画「ザ・オーディション」に出演したロバート・デ・ニーロ(72)、レオナルド・ディカプリオ(40)を迎えての上映会など、派手なセレモニーで幕を開けた。

 この「スタジオ・シティ」はカジノだけでなく、130メートルの高さにある世界初の8の字形観覧車「ゴールデン・リール」、バットマンをテーマにしたアトラクション「バットマン・ダーク・フライト」などのエンターテインメントにも力を入れ、かつてのマカオにはなかった世界観を取り入れている。

 マカオの「カジノ王」スタンレー・ホー氏の息子で同施設運営会社のCEOでもあるローレンス・ホー氏は「中国経済が低迷と言われているとはいえ、中国の中産階級は力強い。まだマカオに来ていない10億人がいる」。日本で“爆買い”している中国人をターゲットにしたのが、今回の「スタジオ・シティ」だという。

 2013年にはマカオのカジノの売り上げは約5兆4000億円に上り、ラスベガスの約7800億円を軽く超えた。しかし、カジノ以外のエンターテインメント、ホテルなど総合的な満足度ではラスベガスがまだ上だった。

 ある地元関係者は「以前のような大人しか遊べない世界ではなく、ラスベガスのようにマジックショーやトップアーティストによるショー、それにアトラクションなどを含めた家族で楽しめる新たな観光地をつくるというのが大きな目的。いままで“カジノしかないから行かない”という人たちの足を向かせたいという思いがある」。

 新たな街への第一歩を歩みだすが、この方向転換を余儀なくさせたのが、中国の腐敗撲滅運動だ。

「いままでのマカオは言うなればカジノと女でもっていた。中国の高級官僚と太いパイプを作り、連れてきてはVIPルームで莫大なカネを落とさせる。これがマカオのカジノを支えていた。だが、習近平の腐敗撲滅政策で、連れて行ける高級官僚がいなくなった。そのため、マカオのカジノ収入は激減したんです。中国経済が下降気味というよりも、高級官僚依存型からの脱却が必要で、その選択肢が中産階級のファミリー層ということなんです」とは地元代理店関係者。

 マカオの観光客数は横ばいが続いているというが、カジノ売り上げが昨年6月から今年9月まで16か月連続前年割れを起こしているのが現状。「来年以降も、新たなカジノ施設は造られていく。スタジオ・シティに掛かる期待は地元でも大きい」と同関係者は話す。

「スタジオ・シティ」は新たなマカオの象徴となれるか。