ラグビーW杯イングランド大会のサモア戦(3日)でW杯初の1大会2勝目を挙げた日本代表のFB五郎丸歩(29=ヤマハ発動機)の“争奪戦”が意外なところで早くも過熱している。といっても「海外のクラブからオファー殺到」ではない。話題にいち早く乗っかり、あの独特なポーズをマネしてネタにしようというお笑い芸人が後を絶たないのだ。“本田芸人”“錦織芸人”に続いて“五郎丸芸人”が誕生しそうだ。

 3日のサモア戦でも、五郎丸はゴールキックを8回中6回成功し、今大会45得点で、得点ランキング2位につけている。南アフリカに続くサモア戦の勝利の模様は、日本でも19・3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)の高視聴率を記録しただけに、すっかり日本代表の顔として定着した。

 五郎丸といえばゴールキックを狙う直前、前傾姿勢になって両手を胸の前で合わせ、お祈りするような人さし指立てポーズが話題だ。「集中するためにルーティン(習慣)でやっている」といわれる準備動作だが“拝みポーズ”などといわれ、大流行の兆しを見せている。

 この“拝みポーズ”をモノマネに取り入れようと狙っているのが多くの若手芸人だ。お笑い関係者は「売れていない若手芸人にとって、話題のスポーツ選手に乗っかるのは売れるための一番の近道。五郎丸選手は話題だから、みんな狙ってるようだ」と指摘する。

 スポーツ選手のモノマネをする芸人は、昔から後を絶たない。

 古くは、ミスターこと長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督(79)のモノマネで知られるプリティ長嶋(61=現千葉県議)が有名だ。ほかにもプロ野球選手のモノマネ芸人は数多く、清原和博氏(48)のリトル清原(43)、イチロー(41=マリナーズ)のニッチロー’(37)、はなわ(39)も松井秀喜氏(41)のモノマネで知られている。

 他のスポーツ選手では、サッカー日本代表の本田圭佑(29=ACミラン)のマネをするじゅんいちダビッドソン(40)、男子テニス・錦織圭(25=日清食品)のモノマネ芸人で“ニセコリ”の異名を持つ、お笑いコンビ「キャベツ確認中」のしまぞうZ(37)なども知られている。

「今も昔も芸人とは、話題のものをすぐネタに取り入れますから。こないだ東スポの1面に掲載されていたけど、高校野球で“怪物1年生”といわれる清宮幸太郎選手(早実)が夏の甲子園で話題になったら、それをモノマネするジャンふじたにって芸人も出てきた」(同)

 このため、五郎丸のモノマネ芸人が出てくるのは“時間の問題”とみられる。

 その一方で、「“拝みポーズ”だけをモノマネするワケにはいかない」との声もある。

 ある若手芸人は「あの“拝みポーズ”って多分、10秒近く静止しているでしょ? 正直言って、静止しているポーズをネタにするのは難しい。舞台の上でずっと止まっているわけにはいかないし、さすがにあのポーズだけをモノマネするのは厳しい」と明かした。

 こんな難問を乗り越えて、いち早く“拝みポーズ”をネタにする“五郎丸芸人”は誰になるのか? ラグビー日本代表の決勝トーナメント進出と同じくらい?注目されそうだ。