昨年1月に死去した歌手でタレントのやしきたかじんさん(享年64)の最後の妻・さくらさんが、たかじんさんの元弟子で歌手の打越元久氏に対し、名誉毀損されたとして損害賠償を求めた裁判で先月30日、和解は成立しなかった。

 さくらさんの目線でたかじんさんの闘病生活を描いた百田尚樹氏の著書「殉愛」に絡み、昨年11月に放送されたインターネットラジオで、打越氏は闘病中にさくらさんが「がんがうつった」としてたかじんさんに金銭を要求したと発言。さくらさんは妻として品性、人格に損害を受けたとして1000万円の損害賠償を求め、昨年12月に大阪地裁に提訴していた。

 この日、打越氏の弁護士は「期日取り消しになりました」と裁判所が双方に勧めた和解は成立せず、28日の判決を待つことになったと明かした。打越氏側の旗色は悪いが、それでも和解は受け入れられなかった。

 打越氏に近い人物は「負けるからといってお金を払って和解して終わりというわけにはいかない。それよりも高裁でさらなる判断を仰ぎたい」と語る。地裁では「殉愛」の内容の真偽に関する議論はほぼなく、打越氏のラジオ発言の内容が細かく審理されただけだったため「高裁では『殉愛』の内容も争点にしていかないといけない。話の根本はそこなんだから」(同)と強調した。

 また、同じく元弟子でたかじんさんの最後のマネジャーだったK氏も、さくらさん側に訴えを起こす意向を示していたが、訴訟は名誉毀損による損害賠償になるという。

「今、詳細を詰めている」(弁護士)と請求額などを決め次第、提訴する意向。打越氏の口頭弁論に出廷後に会見したK氏は「最後は僕が(訴えに)行かんと騒動は終わらないと思う気がしてる」と話した。

 さくらさんをとりまく裁判は次のステージに進むことになった。