デビュー作でいきなり芥川賞作家となったお笑いコンビ「ピース」又吉直樹(35)。芸人初の快挙に驚きの声が上がっているが舞台裏は意外にも…。実は又吉本人は、ノミネートに過度な期待は寄せず、あくまでマイペースを貫いてきた。

 実は又吉周辺は、早くから受賞に確かな手応えを感じていたという。理由は2つ。

 まずは、又吉が生粋の文学好きで、多くの作家たちと交流を持っていたこと。

「作家デビュー前から彼は芥川賞作家の大先輩の中村文則氏や長嶋有氏、直木賞作家の西加奈子氏らと交流し、人脈を広げていた。雑誌の対談がきっかけで、プライベートで飲むまでの仲になった人もいる。礼儀正しく、それでいて文学にアツい又吉さんのキャラクターは年上の先生方に好まれ彼を応援する声は多かった」(出版関係者)

 先輩作家のハートをつかみ、文壇に溶け込んでいたことは大きい。

 もう1つは、部数減少が叫ばれる出版界にとって又吉は待望の“救世主”になり得ることだ。

 別の出版関係者は「又吉さんは自著だけでなく、雑誌コラムなんかも寄稿してますが、そのどれもが話題になるんです。熱狂的な“又吉女子”がいますからね。彼の特集を組むだけで2割近く部数が伸びると言われています」と話している。

 事実、6月18日放送の「アメトーーク!」(テレビ朝日系)内の読書芸人企画で、又吉が中村文則氏の小説「教団X」を推奨したところ、放送直後から同書がバカ売れしたという。「話題の乏しい出版界において、彼は久しぶりに登場したニューヒーロー。今回の受賞は業界全体にもプラスに働くでしょう」(同)

 受賞会見に集まった報道陣も300人を超えるフィーバーぶりだったが、その中では一部スポーツ紙のウェブ版が「受賞」と「受賞ならず」の2つの記事を同時に公開するなどのハプニングも起こった。まだまだ“又吉フィーバー”は始まったばかりだ。